ファンクラブ


「えっ、ソルジャーってファンクラブとかあったの?」





不思議な異世界にて。
あたしは今、元の世界では出会う事の出来なかったザックスに、彼のソルジャー時代の話を色々と聞いていた。





「おう。クラス1stって結構女性ファンとかいたみたいでさ。セフィロスなんて何種類もあったらしいぞ。俺はプレミアムってのしかわかんないけどな」

「プレミアム…なんか凄いな。まあセフィロスって一般知名度も凄かったもんね。あ、じゃあザックスのファンクラブもあったの?」

「おー、それな。そうそう、最初は俺にもファンがいるらしいってシスネから聞いてさ。その時はどんな奴なんだろうって思う程度だったんだけど、ビルに帰ったらファンクラブが設立されてるって言われて、しかもまさかの受付嬢の子が会長で!何度か話したこともある子だったからさ、いやあ、あれは驚いたわ」

「へー、なんか面白いねー!そっかー、神羅ってそういうのあったんだー」





ザックスから聞く話は新鮮なことばかりで面白い。
シスネも知ってるなら、あとでチャンスがあったら聞いてみようかな。

あたしもミッドガルには住んでいたけど、子供だったし、そこまでソルジャーに興味なかったしな…。
本当、一般常識としてセフィロスの名前くらいは知ってるって程度だったから。

ふむ。
でも有名どころなソルジャーにファンが付きやすいってのはわかるけど、他の社員さんとかはどうだったのかな。

あたしはちらっと、今一緒に話を聞いているクラウドに目を向けた。





「ねえねえ、クラウドは?クラウドはそーゆーファンクラブとか無かったの?」

「いや…あるわけないだろ。俺、ただの神羅兵だぞ」

「えっ、そうかな?クラウドカッコいいじゃん!」

「カッコ…い、いや別に…というか、ザックスだって1stになってやっとだろ?それなのに、たかが一般兵にファンなんてつくわけないだろ」

「んー、そっかなー?」





そりゃま、一般兵だと注目される機会は少ないだろうけど…。
こう、メットとか取った時に、なんだあの美少年は!!みたいことになりそうなビジュアルはしてる気がするんだけど。この人。

案外隠れファンがいたり…なんてのは、面白さを求めるがゆえのあたしの妄想だろうか。





「でもそっかー、ファンクラブかー。そーゆーのって何かちょっと楽しそうだよね!いいなー、あたしもなんか入ってみたい!」

「入ってみたいって…誰のにだ?」

「問題はそこだ、クラウド」

「…はあ?」

「ぶは!あはは!本当面白いなナマエ!まあ俺もなんとなくノリで色んなファンクラブ入ってたからあんまナマエのこと言えねーし、いいんじゃねえの、案外メール見るのは楽しかったよ」

「ほらねー!絶対楽しそうだもん!会員ナンバーいくつとか言ってさ!」





ファンクラブ会員とか面白そう!
クラウドには顔をしかめられたしけど、ザックスはいいじゃんいいじゃんと笑ってくれた。

とは言っても…本当に誰のって話だし、この世界にはンなモンあるわけがないってところで話が止まるわけだけど…。

まあ、あたしの好きな人と言えばクラウドなわけだから…。
単純に考えればクラウドのファンクラブってのが一番妥当だろう。

…さっきそんなもんあるわけないって言われちゃったけど。

ん?でもそっか。
無いならいっそ、って考えればいい話なのかもだ。

あたしはパン!っと手を叩いた。





「あ、そうだ!じゃあクラウドのファンクラブ設立するってどう!」

「…は?」

「ん?クラウドの?」





クラウドとザックスにきょとんとされた。

でもまあいいさ!
そんなの予想の範囲内!





「名案じゃない!?あたし会長する!まずはクラウドのプロフィール、得意技の紹介を皆さんにお届け!」

「そんなの誰が喜ぶんだ…」

「ん?ティファとかエアリスは面白そうって入ってくれるんじゃない?むしろ手伝ってくれそう。なんならユフィも引っ張るし」

「いや…」

「ていうか元の世界の仲間は全員引っ張り込んじゃえばいいと思うんだよね!あたし、クラウドと一緒に行動すること多かったでしょ?その時のクラウドの様子とかエピソード、皆ならわりと楽しんでくれるんじゃないかな!」

「ちょっと待て…あんた何書くつもりだ」

「大丈夫!ネタには多分困らない!」

「へー、面白そうだな!俺も入れてくれよそれ!」

「よっしゃ!会員確保!」

「ザックス!!」





ザックスがノッてくれた。
わーい!とふたりで喜ぶも、クラウドにガシリと肩を掴まれる。





「ナマエ、やめろ」

「えー、それにさ、この世界には他にもいっぱい仲間いるし!宣伝したら結構入ってくれるんじゃないかな!面白そう!って」

「それ俺が見世物になるだけだろ」

「違うよー!!クラウドの魅力をこの世界に知らしめようっていう!!」

「…意味がわからない」





力説してみたけどクラウドは首を縦に振らない。
むしろ断固拒否。絶対駄目だ、やめろ、と釘を刺されてしまった。

うぬぬ…。

名案だと思ったんだけどなー。
でも本人がここまで嫌だと言うなら強行突破はしませんけど…。





「はーあ、残念。面白そうだったのにー」

「…全然面白くないだろ。というかそもそもファンってなんだ…」

「え、応援、する人…?」

「……。」





ファンって何だって…。
そう言われると、返答に困る様な。

なんだ、支持者…?
なんかこう、熱心に応援してる人…みたいな?

いや、なんとなくはわかるけど。
そんなん漠然としか考えたことないもんな…。





「うーん、でもあたし、クラウドのファンです!って言うの全然抵抗ないよ!」

「っ…なに、言って…」

「ん?」

「…っそ、そもそもあんた、会員が良かったんじゃないのか?主催してどうするんだ」

「えっ、どっちも面白そうだからどっちでもいいかな。あっ、じゃあザックスのこっちでも作る?元のは解散しちゃったみたいだし。クラウドもそれなら手伝ってくれる?」

「え」

「それにあたしが始めたら他の人も他のファンクラブ作ってくれるかもしれないし!そしたら会員にもなれるよね!」

「…誰でもいいのか」

「へ?」

「…何でもない」



END


昔もファンクラブの話って書いたことあるんですが、その時はオペオムがリリースされる前だったので、本編では絶対ザックスとは会えないけど細けえこたあ気にすんな!ってキャラに言わせながら書くっていうとんでもメタ話としてUPしたんですよね。

なので今回はそのリメイクと言うか、そんな感じでもあったりします。
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