無茶をする君


「まったく…自分を許せないのはわかるが…」

「いつか大怪我でもしそうで心配だよ…」

「そうなんだよねえ…。そんなに焦らなくても大丈夫って言ってるのにさ…」





飛空艇の甲板の上。
ライトとセラと話しながら、はあっ…と重たい息をつく。





「どうしたんだ?気になることを言ってたみたいだけど」





そんな時、その様子を気に掛けてくれる声があった。

振り返ると、そこにいたのはマキナ。
その傍にはサンクレッドやカイエンもいる。

あ…。
もしかして、マキナたちなら。

あたしがそう思いつくと、どうやらライトとセラも同じことを考えたようだった。





「お姉ちゃん、ナマエ、もしかしたら…」

「ああ。あいつらもお前たちになら気を許すかもしれないな」

「うん。ね、マキナたち、ちょっと相談したいんだけど…」





3人で顔を合わせて頷く。
そうしてあたしたちは今の悩みの種をマキナたちに聞いてもらうことにした。





「実はホープとスノウがこれまでのことを気に病んでいるのか、無茶ばかりするんだ」





ライトが説明する。
そう。話とはホープとスノウのこと。

それを聞くと、サンクレッドが成る程という顔をして頷いた。





「体を乗っ取られたり闇の干渉を受けて思いつめてた事か」

「罪滅ぼしでもしているつもりなのか、無暗に前に出て私たちを庇おうとしたり…」

「本当、聞いてよ。ホープなんてこの間、囮になろうとしたんだから!」





ライトの説明に合わせ、あたしは先日のホープの様子を口にする。

この間、探索してた時の戦闘。
ホープが急にあたしの前に飛び出してきて…。





《ナマエ!下がって!僕が囮になるから!》

《えっ、ちょ、ホープ!?》





囮とか、ホープは得意な分野じゃない。

そこから感じたのは、何かの役に立たなくてはという気持ち。
変に焦ってるような…そんな感じ。

そしてそれはスノウも同様。
もともとディフェンス色の強い戦い方をするスノウに関してはホープよりもその辺が酷い。





「いくら心配しても聞いてくれないから、どうしようって話してたところなの」

「いかにもスノウ殿の考えそうな事でござる。ううむ…これはこれで問題でござるな」





溜息をついたセラに、現場を見ずとも想像がつくとカイエンも難しい顔をする。

それに無闇に前に出るだけじゃない。
他にも色々ある。





「あと、休憩も挟まずどんどん先に進もうとしたりとかさ…。こっちがちょっと休もうよって言うと、ナマエは休んでて大丈夫だよ、僕に任せて、とか…ってだからそうじゃないんだっての!!」

「うーん…ナマエがそんなにイライラしてるの珍しいな」

「だって全然こっちの話聞いてくれないんだもん!そりゃイライラするよ!」

「そ、そうだな…。ま、まあ…落ち着いてくれ」





ちょっとマキナに諭された。
まあヒートアップしてる感は否めない。

あたしは「ごめん」と軽く謝り、そしてまた溜め息をついた。

するとマキナはふむ…と考えてくれる。





「挽回したいって気持ちなのかな…話が聞けないか、ちょっとやってみるよ」





マキナたちはホープとスノウの様子を見てみてくれると約束してくれた。
有難い限りだ。

でも、まあ…ふたりの気持ちは、わからないわけじゃない。





「…わかるよ。ブーニベルゼに乗っ取られたり、闇の干渉を受けたり…。だから、マキナの言ってた通り挽回したい、その分何かをしたいっていう気持ち」

「ああ」

「でも、責任を感じる必要とか、巻き返さなきゃなんて…そんなこと思う必要、これっぽっちもないのに」

「うん、わかってる。誰もそんな事思ってないよな。ナマエがそう思ってることも、伝えてみるよ」

「…ありがと、マキナ」





そのお礼に、マキナは頷いてくれた。

責任なんて、感じる必要はない。
…ただ、今回の場合、それをいくら言っても、自分達の前だと…余計に無茶をする。

大切に想ってくれてる。
…それは嬉しいけれど、今回はそれが裏目に出てしまう。

だから今回は、マキナ達に任せるのが1番かもしれない。

話して、何か少し焦りが落ち着くといいんだけど…。
そんなことを思いながら、あたしたたはマキナ達を見送ったのだった。



END
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