集まっていく仲間たち


「あっはは、ナマエ!元気そうじゃーん!」

「ユフィもね!って別にそこまで長いこと離れてないし!」

「まーね!」





空っぽなやり取りをユフィと交わす。
くだらないけど、でも互いに顔を合わせて笑い合ってた。





「無事、再会できたな!」





ザックスがその場にいる顔を見渡して言った。

ユフィ、バレット、シド、ケット・シー。
光の羅針盤に導かれるまま進み、あたしたちはまた無事にその4人と再会することが出来た。





「おうよ!お前らが見つけてくれなかったらこの不気味な場所をさ迷うところだったぜ!」

「飛空艇もなくこんなところに放り出されちゃ為すすべがねえってもんよ」

「ほんに、ナマエはんとザックスはんの光の羅針盤様様ですわ」

「えへへー!もっと褒めていいよ!」

「おめえじゃねえだろ、光の羅針盤だろ」

「調子のってんじゃねえよ、このすっとこどっこいが」

「あでっ!」





光の羅針盤のことで褒められたから、もっと感謝してよくってよ!って胸を張ったらバレットとシドにド突かれた。

ちょ!ふたり同時!?

「酷い!か弱い娘になんてこと!」なんてショック受けた反応したら「誰がか弱いんだよ」「寝言は寝て言え、このバカ」とか言われた。
…そろそろ泣くぞ。このおじさんたち酷くない?

まあ、多分誰も味方してくれないし、これ以上やるとユフィとかにもボロクソ言われそうだから、おふざけはこれくらいにするか…。

ここからは真面目なハナシ。
あたしは今いる面子を見て、ユフィに確認した。





「ねえ、ユフィ。ユフィたちは他に誰にも会ってなんだよね?」

「うん。会ってないよ。ていうかアタシたちは集合できたけどさ、ヴィンセントが見当たらなくない?一度は合流出来てたのにさー」

「…うん」





あたしが気に掛かっていたのもそこだった。
やっぱ、ユフィ達も気にしてるよね。

今、あたしたちは元の世界の仲間…あの星の仲間たちとはほとんど再会することが出来た。
でも、ひとりだけ…ヴィンセントの姿だけがどこにも見当たらなかった。





「確かに心配ですなあ」

「アイツのことだからひょっこり姿を現すんじゃねえか?」





ケット・シーが軽く辺りを見渡し、シドはそう簡単にくたばる奴じゃねえだろと煙草を吹かす。

ま確かにヴィンセントのことだからひょっこり…ていう可能性もある。
ヴィンセントは強いし、元タークスだ。状況判断とかも的確だし、大抵のピンチはきっと切り抜けちゃうだろうっていう、そういう安心感はある。

でもねえ、やっぱひとりだけ見つからないってなると…ちょっと、ね。





「それも光の羅針盤で探し当てられるんじゃねえのか?おい、ナマエ。探せねえのか」

「うーん…それは…」





バレットに言われ、あたしは困ったようにザックスを見る。
するとその視線に気づいたザックスもそれが簡単ではないことを一緒に説明してくれた。





「今のところ仲間がいる方角が指し示されるだけだから…。誰が、とかの細かい指定は出来ないんだ」

「うん…示すままに進んでみて、そしたらその先に皆がいたってだけだからね」

「万能ではないゆうことですな」





ケット・シーが納得したように頷いた。

うーん、こういう時、結構ケット・シーって状況整理してくれてるイメージだよなあって思う。
なんというか、参謀っていうの?なんか、そういう感じね。





「だけど、星の仲間がこんなに集まったんだ。ヴィンセントもすぐに見つかるだろ!」





ザックスは変わらず前向きに、その姿勢を崩すことなくそう言ってくれた。

希望はある。
心配だけしていても仕方ないし。

皆もその考えには頷き、賛成していた。

でも、そんな中で俯いてる人がひとり。





「……。」

「ところで、クラウドはどうしちゃったわけ?ずっと落ち込んでるみたいだけど」





さっきからずっといる。
だけど会話に参加せず、黙って、肩を落としてる。

そんなクラウドの姿にユフィが突っ込んだ。

皆も気になってはいただろう。
その場の皆の視線がクラウドへと集まった。

あー、もーう…。
あたしはクラウドの傍に寄り、とんっと肘で突いた。

するとこそこでクラウドの顔を上げ、その重たい口をやっと開いた。





「…本当は俺も、光の羅針盤を持っていた」

「そうなの?」

「確かに、ナマエやザックスだけが持ってるのはいまいちしっくりこねえと思ったが」

「どこへやっちまったんだよ?」





ユフィが首を傾げると、バレットとシドもクラウドに聞く。
クラウドは気重そうに答えた。





「…セフィロスに奪われた」

「ええっ!?そいつはえらいこっちゃ!」





ケット・シーが驚いて声を上げた。

まあセフィロスって聞いたらそりゃ驚くだろう。
ユフィとバレットとシドも同じように驚いていた。

でも、そこですかさずザックスとあたしがフォローだ。
それは皆へのフォローっていうより、クラウドに対しての声掛け、だけどね。





「奪われたなら奪い返せばいい。そのために仲間を集めてるんだ」

「そーそ。着実に、取り返すための準備整ってきたよ」





クラウドは、皆に対して申し訳ない気持ちがあるんだと思う。
でも正直、あたしは大丈夫だろうなって思ってた。

現に、セフィロスに取られたことを聞いた皆の反応は、結構あっけらかんとしていた。





「はー、クラウドて相変わらず抜けてるよねえ」

「ユフィに言われたかねえだろうが、抜けてるってのは賛成だな。セフィロス相手に熱くなって、その隙にかすめ取られたんじゃねえのか?」





ユフィやシドが、「はー、やれやれー」みたいな風に言う。

ま、確かにクラウドはわりと抜けてるとこがある。
それはあたしも同感だ。

多分それ言ったらあたしもシドにおめえも人の言えねえよとか毒吐かれそうだけど。

でもさあ、そういうとこもクラウドの魅力なんじゃないかー!ってね。





「はは、詳しくは違うけど、だいたい合ってる」





わりと言われたい放題。
そんなやり取りを見たザックスは笑ってた。





「……言葉もない」





そしてクラウドも言い返せないようで、またがくりと肩を落としてた。

まあね、あたしはアホだからね。
そんなにしゅんと…しちゃってちょっと可愛いなあとか変な方向に頭転がりだしてたりもするんだけど。

でもそう思うのもそんなに気にすることないって思ってるから。

だからあたしはドンっとクラウドの背を叩いた。





「ほら!クラウド!顔上げてって!ていうかそんなに落ち込むことじゃないって言ってるじゃんか!」

「…ナマエ」

「そうそう!必要以上に落ち込むことないって!こんなに仲間も増えたんだ!少しずつ準備を整えて、拭くべき時が来たら、ガツン!と取り返す!それでいいだろ、なあ?」





ザックスはあたしに合わせるようにまたクラウドを励ましてくれて、そして皆にも同意を求める。
すると皆も頷いて、ケット・シーが声を掛けた。





「少なくとも、僕らは加勢しまっせ」





皆、クラウドの味方。
取り返すために、一緒に戦ってくれる。

力になるよ。

だって、仲間だもん。





「ああ…ありがとう。必ず取り返してみせる!」





皆の気持ちにクラウドも礼を言う。
そして全員で改めて頷いた。

大丈夫。あたしたちは、クラウドと一緒に戦うよ。

光の羅針盤を取り戻す。
そして、ヴィンセントの捜索。

果たすべき目的は、またひとつ、色濃くなったのだった。



END
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -