貴方に出会えて
ぱらりとめくる書きとめた調合ノート。
座る膝の上に掛かる重みと、かすかに聞こえる小さな寝息。

ノートから視線を外して下を見れば、そこに映ったのは金色の髪と白い肌。

そこにある存在に、あたしは深い愛おしさを感じた。





「ん…」





すると、いいタイミング。
膝の上で軽く身動ぎ、白い瞼がゆっくり開かれ空色の瞳が露わになる。

それを見つめ、あたしは小さく微笑んだ。





「おはよう、クラウド。よく眠れた?」

「…ナマエ…?…ああ…」





虚ろな空色と視線が交わる。
彼はあたしの名を呼ぶと、手のひらで軽く瞼を擦った。

あたたかな午後。
気持ちがいい気候の中で、欠伸をしたクラウド。
「寝ても良いよ」なんて笑い掛ければ、彼は少し照れながらあたしの膝に頭を置いた。
そして、気付けば聞こえた寝息。

ああ、気を許してくれている。

それを見た時、そう感じられて…あたしはその時ホッと幸せを覚えた。





「クラウド」

「ん…?」





お返しするように、あたしも彼の名を呼んだ。
そして触れた、白い頬。

今、この穏やかな時間は…苦しいくらいに幸せだ。

だって、あたしは知っている。
これはきっと奇跡のような時間だと。

本当なら、手なんて…届かなかった。
出会えることすら、ありえない。

あってはならないと、沢山悩んだ。

でも、出会えてよかったと…今、心から思う。





「大好きだよ、クラウド」





突然の告白に、空色の瞳が丸くなる。
それを見てあたしはくすりと笑う。





「…いきなり、どうしたんだ?」

「言いたくなったから言っただけ」





貴方に出会えて幸せです。
そう思いながら、あたしはまた微笑んだ。



END


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