エース
「エースの武器ってさ…本当不思議だよね。意味わかんないんだけど…」
「意味わかんない…って、言われてもな」
ぱらぱらとカードに触れるエースを見て、私はムム…と唸っている。
そんな私を見て、彼は少し苦笑った。
「いや…だって凄く器用に操るじゃない」
「まあ、僕の魔力を込めたカードだから」
「それはわかるけど…それにしたって本当、カードが生きてるみたいに動くから」
私だって、武器に多少なれど魔力は込めている。
でも、エースの様に鮮やかに操る為ではない。
そもそもあたしの武器はロッドだ。
つまり早い話、簡単に言えば振りまわせばいいわけだ。
…って、勿論ただ振りまわしてるわけじゃないけど…。
でもエースの様に、精密に操る必要は全くない。
だから戦いのたび、エースのカードさばきにはただただ感心してしまうと言う話だ。
「こないだだって…ほら、私が少し油断しちゃった時。背後に皇国の兵がいて、ああ…もうダメ…って思った時、エースのカードがヒュン…ッと抜けてさあ。あ、今更だけどありがとう」
「え、ああ、どういたしまして」
「セブンとかも言ってたよ。エースのカードはどうなってるんだってさ」
「そんなに不思議か?僕のカード」
「うん。結構」
「うーん…。ああ、でもお前を守った事に関しては、少し意味が変わってくるけどな」
「え?」
意味が変わってくる?
言葉の意味がわからなくて一瞬きょとんとする。
少し考えてみる。
…うん。やっぱりわからない。
そうこうしてると、エースは小さく笑った。
「ははっ。僕、カードに魔力を込める時、ただ魔力を込めてるだけじゃないんだ。ちょっとした想いも一緒にカードに込めてる」
「想い?」
「お前を守るって」
「…え?」
エースはカードを一枚手に取ると、それを祈るように額に当てて目を閉じた。
「こうして…いつも想いを込めてる。今回の戦いも、守れますように…って」
エースの祈りに反応するかのように、カードが青く光る。
「エース」
「うん?」
「ありがとう」
お礼を言うと、彼は嬉しそうに頷いた。
END
アギトでのエースの天然たらしっぷりが素晴らしいです。(笑)