アーロン

「へい!アーロンさん、はーぐ!」

「……。」





両手を広げてカモーン!みたいな。
満面の笑みでそう言ったら、何かものすごーく頭悪そうなもの見るような目を向けられました。





「なーんスか、そのしっつれーなお顔〜」

「…何故あいつの口調を真似る」

「なんとなく」





ティーダの真似っこは本当になんとなくだ。
なんでしょ、たまに真似したくならないかね、アレ。

まあ別にそんなことはどうでもいいのよ。

私はトンっ、と腕を広げたままアーロンに一歩近づいた。





「ね、抱きしめてくーださーいな」

「…何故だ」

「さっきから何故何故うるさいですね。抱きしめられたいからです」





ええい、もうなんだか面倒くせえ。
色々とまどろっこしくなった私はそのまま「えいっ」とアーロンの胸の中に飛びついた。

アーロンは多分多少なりとも驚いてた。
声を上げるとかはないけど、ちらりと見たサングラスの奥が軽く見開かれたから。

ぎゅっと大きな背中に手を回して、胸に頬をうずめてみる。
すると、アーロンの手がそっと優しく私の背に触れたのを感じた。

なんだかんだ言うけれど、こうして受け止めてくれる。
振り払われることがないというのは、嬉しいものだなと思う。





「…満足か」

「うん。とっても」





うずめた頬を綻ばせ、ふふっと笑った。
それは自然と浮かんだ笑みだ。

それを見たアーロンは小さく零す。





「…何がそんなにいいんだかな」

「え〜、色々あるよ。アーロンおっきいから抱き着き甲斐あるし〜」

「……。」





私はへらっと笑いながら答える。
すると無言の何とも言えない反応ですよ。

まあ、それは嘘じゃないけど。

私はまたふふっと笑った。





「包まれてるとホッとする、の方がいい?」

「…どうでもいい」

「あー、そういう事言うー?でもそれ本当。安心するのよ、すっごくね」

「………。」





すっぽり包まれる感じ。
それは絶対的な安心感と言うか。

好き好き、大好きですよ〜なんて意味を込めて、私はぎゅーっと更に抱き着いた。


END


アーロンさんはこう本当抱き着き甲斐がありそうです。


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