「はあ…ライトさんになりたいです…」

「…は?」





端麗な顔をしかめ、怪訝そうにあたしを見る彼女。

だけどあたしも負けてない。
むすっ、としたまま羨む視線でライトさんを見上げた。





「強くて、真っ直ぐで、格好いいですもん」

「…別に、格好良くなどない」

「どの口がそんなこと言っちゃうんですか。憧れですよ、憧れ!あたし、ライトさんみたくなりたいです!」

「そう言われても、お前は私に何を求めているんだ」





なんだかちょっと呆れ顔。
いやいや、そんなのいつものことだけど。

でも、そのシュッとした立ち振る舞いは、ある意味一目惚れだった。

だって本当に格好いいもの。





「いつか、ライトさんはホープに言ってましたよね。やるしか無ければやるだけだって。でもあたし、やってみて失敗する可能性が怖いんです。失敗したら、意味なんてない。あたしはまだまだ可能性に乏しいと思うから」

「…珍しいな。お前はいつも我武者羅に突き進んでいくイメージだったが」

「勿論、諦めないで突き進むってのも大事だと思います。でも…身の程も知っておかなきゃダメだって、旅してて何度も思いました」





出来ないことがたくさんある。
自分の出来ないことを把握しないと、みんなにも迷惑がかかる。

だから、その自分の身の程を…、もっと広くしたいと思った。
だからこそ、あたしよりもずっとずっと優れてる、ライトさんに憧れた。





「…自分のせいで誰かが傷つくなんて、自分が傷つくよりもっと痛いでしょう?」





あたしの油断を、スノウさんやファングさんが庇ってくれたら。
ライトさんやサッズさんが、こっちの敵を振り払って隙を突かれたら。
自分も傷ついてるのに、ホープやヴァニラがあたしの回復を優先してくれたら。

思い出すだけで、胸が痛くなる。





「…だから、もっと強くなりたい…」





きゅっと手を握り締めた。





「…皆同じだ」

「え?」





すると、ぽすん…と、綺麗な手があたしの頭に落ちてきた。
それは優しくあたしの髪を撫で、少し見上げれば微笑みがあった。





「それはお前だけじゃない。皆が思ってることだ。お前だって、誰かのピンチには真っ先に走っていくし、気を配ろうとする努力はちゃんと私たちに見えている。だからこっちも全力でそれを返してやろうと思うだけだ」

「…ライト、さん…」

「少なくとも、仲間ってそういうものだと…私は思うよ」





今更なこと。知っていたこと。
でも…改めて感じたこと。

あたしは、この人に仲間だと思ってもらえている。
皆の仲間だと言ってもらえた。

ライトさんの言葉は、いつだって嘘偽りない本音。





「ねえ、ライトさん?たまに稽古つけてくれません?」

「稽古?」

「だって、それなら尚更皆に何かしたいですもん。私だって、全力で助けたい」

「まあ…努力し続けるのは悪い事じゃないな。わかった、私でよければ付き合うよ」

「わあ!流石ライトさん!大好きです!あたし、ライトさんのとこならお嫁に行ってもいいかも!」

「…ふざけていられるのも今のうちだ。私は手加減しない。覚悟しておけよ?」

「きゃー!」





お互いに、笑った。笑いあえた。

ねえ、ライトさん、知ってます?
貴女は本当にあたしの憧れ。

こんなにも誰かを尊敬したこと、この人みたくなりたいって思ったこと…初めてなんです。

だから…貴女に認めてもらえる事が、私の何より嬉しいこと。



END



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -