君の笑顔ひとつで

教室の端。
窓側の一番後ろ。

皆が羨むこの場所が、私の席だった。

でも、私はこの席があまり好きじゃない。

理由は簡単。
…好きな人が、遠いから。





「ナマエ、どうしたの?溜め息なんかついて」





長い休みの待つ、今期のミドルスクール最終日。
私は周りの友達から何度も、そう尋ねられた。

遊びに行こう。
旅行に行くんだ。

皆、口々に楽しそうに笑っていた。

でも、私は憂鬱だった。






(―――…ホープくん)





心のなかで、そっと呟いた。
それは、私の好きな男の子の名前。

第一印象から、優しそうな子だなあ…って思った。
そしたら実際も凄く優しくて。

入学してから今までずっと同じクラスだったから、よく知ってる。

…でも、同じクラスなのに…ほとんど話したことがないのも事実。
…いつも私は、遠くから見てるだけ。

でもそれが楽しくて、だからこそ少しだけ話せた時、嬉しくてたまらなくて。

だけど…長い休みが来たら、見ることすら叶わなくなる。
そんなの、憂鬱以外の何物でもない。

引っ込み思案な性格の私が悪いんだけど、また…私は小さく息をついた。


視線の先には、友達と楽しそうに話してるホープくんが映る。

席が遠くて、何を話しているのか…よくわからない。

でも、楽しそうに笑ってる。
緑色の大きな瞳を細めて、銀色の綺麗な髪を揺らして。





(―――…ああ、かっこいい…かわいい…。)





ああ、私…絶対変な奴だ。
休みが始まる前から、休みの終わりを考えてるなんて。


ねえ、知ってますか?
ううん、きっと知らないんだろうな。

君の笑顔ひとつで、こんなにも幸せになれる人間がいるってこと。

いつも鏡の前で、前髪はどうしようとか、この服どうかな…とか。
どうしたら君が少しでもこっちを見てくれるかなって、いつもいつも考えてる。

一日一日が過ぎるごとに、どんどん好きが積み重なって行くことを。



END


だいぶ勢いで書いた。←

そしてホープくんはパージされる。(笑)


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