次に訪れる未来

「ねえ、アーロンさんは前世とか来世、信じますか?」





何気なく尋ねた質問。

目線を、手を入れていた刀からこちらに、アーロンさんは移した。





「人は生まれ変わる、という類の話か?」

「はい」





その通りだと言う様に頷く。

命は死んだら、また新しい命として生まれ変わる。
その、前世とか来世だ。





「お前は信じているのか?」

「あ、質問したの私なのに」





聞き返されて、むっと頬を膨らませてみる。

でも、まあいいか。
そう思って、すぐに答えた。





「うーん…どうでしょう。半信半疑、ですかね。実際、前世の記憶があるわけじゃありませんから。無いとも言い切れないけど、有るとも言えませんよね」

「それを俺に聞いてどうする気だ?」

「いえ。ただ、あったらいいなって思ったんです」





本当に有るのか無いのか。
そんなの、わからない。

でも、想像するなら。
あったらいいな…って思う。





「まあ…正直、今までは有っても無くてもどうでもいいって思ってました。また生まれてきたって、シンがいるから。だから、興味も何も無かった」





そう。それは本当の話。

今まで、前世も来世も、どーでも良かった。
シンがいるから、また生まれてきたって…って思ってた。





「でも今は…手を伸ばした先に見えるのは、永遠のナギ節です。そうしたら、何だか興味が湧きました。生まれ変わるのも、いいかもって」





手を伸ばして、未来を見据える。

次に来るのは…終わらない永遠のナギ節。





「…そうか」

「はい。永遠に続くから…だから、次は、ずーっとアーロンさんと一緒にいられでしょ?」





そう言いながら近づいて、ストン…と、貴方の隣に腰を降ろす。
そして、その肩にそっと頭を寄せた。

現世では、もう叶わないけど。
永遠のナギ節の訪れと同時に…貴方はいなくなってしまうから。





「生まれ変わって、また会えるとも限らんぞ」

「うーん、まあそうですけど。いいじゃないですか」





ものすごく正論すぎて笑えてくる。
ああ、さすがアーロンさんだ。

でも、それを言ってしまうと。
この話自体が、だから。

ここまできたら貫き通してみようじゃないか。





「会えます!って、思いましょうよ?」

「ならば…次も、同じ感情を抱くと思うか?」

「ええ、そーゆーこと言いますか?」

「言ってみろ」





…ああ、本当にこの人、意地が悪いなあ。

ちょっと楽しんでるみたい。

貫き通す、って言ったばっかだし、今更だ。
だから、別に言ってもいいんだけど。

なんか、悔しいよねって言う気持ちも顔を出してきて。





「じゃあ…次も、惚れさせて下さいよ?」





そう返して、にやっと笑った。

すると、意外な返しだったのだろうか。
ちょっと丸くなったサングラスの奥。

だけどすぐ、いつもの「フッ」という笑みが見える。





「…覚悟しておけよ」





囁いて、落ちた唇。



…本当に…有ればいい。

それは、願いにも近い。
瞼を閉じながら、そう強く…私は思っていた。



END


個人的に前世ネタの漫画とか好物です。

でも前世の記憶とかオリジナルででっち上げるのは微妙だなあと思い、じゃあ来世でいこう的な。
と、すると死ネタとかになっちゃうので、じゃあアーロンさんだ!みたいな。(笑)

てか名前変換無くてスミマセン…!


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