ハッピークラッカー
「クラウド!誕生日おめでとう!」
続いたモンスターとの戦闘の疲れを癒すため、立ち寄った宿にて。
あたしは部屋で待機し、買い出しにでた我らがリーダーの帰りを待った。
そして、彼が部屋の扉を開いたと同時に祝いの言葉とパアン!という音を響かせクラッカーを鳴らした。
…のだが。
「……。」
「え?どした、クラウド」
驚かそうとしたこっちがビックリするくらいに反応がない。
いや、これは…固まってる…?
そう思ってクラウドの目の前で手を振った。
「クラウドさーん?おきてますかー?」
「あ…、いや、起きてるに決まってるだろ」
「だって固まってるから」
「驚いただけだ」
「だったらもうちょい反応してよ」
まったくー、なんて言いながらベッドの上にあるバッグの中を探る。
そこから取り出したのは袋詰めされたクッキー。
「はい。これ」
「え?」
「ごめんねー、本当はケーキ用意してあげたかったんたけど前の街で買い物し過ぎてお金なくなっちゃって。そしたらこの宿の奥さんがね、趣味でお菓子とか作って売ってるって聞いて。すっごい美味しかったからクラウドにもどうかなー…なんて」
微笑みながら言う。
しかし、やっぱりどこか反応の薄いクラウドさん。
ちょっとちょっと。
もうちょい反応してくれってば。
「クラウドー、反応薄いよ。やっぱりケーキがよかった?でもこのクッキーも美味しいよ?」
「ナマエ」
「ん?」
「あんた、俺の誕生日なんて…」
「え?今日だよね?」
「そうだけど…何で」
「んー?占いか何かやろうとして聞いたよね?」
「そんなの…覚えてたのか?」
「うん。そーだよ?」
意外だ…みたいな?
クラウドはそんな顔をしていた。
覚えてるに決まってるじゃないか。
あたし、割と人の誕生日とか覚えるの得意なんだ。
いや、そうでなくてもクラウドの誕生日だ。
好きな人の誕生日なんて…覚えるに決まってるじゃないか。
そう呟いたのは心の中で、だけど。
「クラウド…?」
しかし、やっぱり何だか反応の薄いクラウド。
なんか気になって「どしたの?」と首を傾げる。
すると、彼は首を振った。
「いや…悪い。嬉しくないとか、そういうわけじゃないんだ」
「うん?」
「ただ、俺…あんまり誰かに誕生日を祝って貰った記憶って無かったからな…。どう反応していいかわからなくて…」
「え?」
「…凄く、嬉しいものだな…。…ありがとう」
「…!!!」
きゅーん!
今、確実に胸の中がそう騒いだ。
特別なことなんて何も出来なかったのに。
そんな風に言って貰えるなんて…!
「ら…」
「ら?」
「ら、来年も祝うよ!あたし!次はもーっと豪華にやるから!覚悟しててよ!」
「なんで覚悟なんだ…?」
「細かいこと気にしないの!あたしで良ければいくらでも祝うからね!」
自分でもどうしたんだってくらいグッと力説するあたし。
でもクラウドはそれを見て笑ってくれた。
「ああ、楽しみにしてるよ」
END
2012年クラの誕生日ー。
クラウドってお友達いないし、被験されたりと…なので誕生日の思い出ってどうなのか…と。
うーんザックスとかは祝ってくれたのかしらー?みたいな妄想から←。