記憶の初恋

「みんな、一緒にいたんだね」





ぽつり、呟いた。


セルフィの希望で、トラビアガーデンを訪れたあたしたち。

そこで、みんなと色々な話をした。

そうしたら思い出した。
みんな、リノア以外、同じ孤児院で幼少期を過ごしたことを。

G.F.の副作用。
ずっとずっと忘れてた。





「ナマエとさー、あたしよく遊んでたよねー」

「うん。遊んでたね!戦争ごっことか言ってさ」





セルフィと笑う。

何して遊ぶ?
そうセルフィに言うと、いっつも元気よく「戦争ごっこ!」って言ってくるから。

ああ、懐かしい。
話してると、どんどん思い出してくる。





「アーヴァインさ、セルフィに話しかけられると、いっつも嬉しそうな顔してたよね」

「ははっ、思い出してきたねえ…ナマエ」





ひょこ、とアーヴァインに近づいてこっそり耳打ちする。

唯一孤児院の記憶を覚えていた彼。
ガルバディアガーデンで会ったときから、妙にセルフィを気にするなあ…と思っていたけど、思い出して納得した。

彼はセルフィのことが大好きだったから。
よく3人で遊んでてると、アーヴァインはいつもセルフィのこと見てた。

幼いながら、あれは気がつく。





「なんのはなしー?」

「ん?なんでもないよー!…ま、応援してあげるから頑張りなよ」

「…お願いします」

「???」





アーヴァインとの会話のことを聞いてきたセルフィを軽くあしらうと、彼女は首を傾げていた。

初恋の女の子、か。
一途だねえ、アーヴァインは。

でも、そういうのは応援してあげたくなるものだ。


…ま、応援してあげたくなる理由は他にもあるんだけど…。





「あ!そーいえばさー」





その時、セルフィが何かを思い出したようにポン!と手を叩く。
そして、あたしを見るなりニヤリと笑った。





「ナマエってさー、スコールのことー」

「わああああーーーッ!!!?」




セルフィが何を言おうとしているのかに勘付いて、慌てて大きな声を上げてかき消す。


その様に、たぶん同じように勘付いたらしいアーヴァインは「ははは!」と笑ってた。
…笑ってないで止めるの手伝ってよ…。





「…俺がなんだ」

「うっわ!スコール…!」





セルフィがスコールの名前を口にしたのが、彼の耳にも入ってしまったのだろう。

気がつくとスコールがこちらを見ていた。

思わずドキリとしてしまう。
そんなあたしを見て、セルフィはまた楽しそうに笑う。





「あのねー、スコールー!ナマエがねー」

「ちょっ、セルフィ!」





ニヤニヤしながら余計な事を言おうとしてるセルフィの口を慌てて押さえる。





「なんでもない!なんでもないの!」





ぶんぶん首を振る。

するとスコールに凄く怪訝そうな顔をされた。

うう…そんな顔しないでよ…。
傷つくよ、初恋の相手にそんな顔されるとさ…うう。



…そう。
あたしは孤児院にいたとき、セルフィが好きだったアーヴァインと同じ。
…スコールのことが大好きだった。

スコールは、小さな頃からあまり喋るようなタイプじゃなかった。

…でも困ってると、不本意そうな顔しながらよく助けてくれた。そこは今もだね。





「海の中に帽子が飛ばされちゃって…。でもあたし、その時水が怖くて近づけなくて、そしたらスコールがとりに行ってくれたなーって。そーゆーの、思い出しただけ!」

「そんなこと…あった気もするな」

「あ、覚えてる?」





覚えててくれて、ちょと嬉しくなった。

そんな部分が、たぶん大好きで。
気付くとじっと見てた。

だから傍にいたセルフィやアーヴァインにはバレバレだったんだ。


…ま、現在進行形…なんだけどね。

だからアーヴァインのことも、応援したくなるっていうか…。





「ナマエ〜、僕も応援するよ〜」

「…そりゃどうも」





それは、アーヴァインも同じらしい。

まあ、お互い頑張ろうか…。
なんて、雪の降る空を見上げて思った。


END


スコールー。

トラビアガーデンだからメンバーいるはずなのに半分が空気…!
ごめんなさい…!


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