ごほうび

「狩猟祭ねえ…」





リンドブルムで開催される大きなお祭り、狩猟祭。

なにげなく呟いた。

お祭り、と言ってもこのお祭りはちょっと特殊だ。
リンドブルムの街に魔物を放って、参加者はその魔物を狩りポイントを稼ぎ競い合う。

優勝者には、自分の望んだ好きな品を賞品として受け取る事が出来る。
私のまわりでも参加する人が何人かいる。

私は面倒くさいから参加しないけど。
特に欲しいものも無いしなあ…。

狩猟祭が始まるまでの余った時間、する事が無くて「うーん」とだらけていた。





「ナマエ!」

「あ、ビビ」





すると可愛らしい声に名前を呼ばれた。

だらけた体を起こせば、そこには小さな黒魔道士くん。





「どしたの、ビビ?ビビも狩猟祭出るんでしょ?」

「う、うん」





ビビはコク、と小さく頷いた。

ビビの魔法はなかなかのもの。
その腕を買ったジタンが良い線にいきそうだから、という理由でビビをエントリーさせておいたらしい。

そんなわけで彼も狩猟祭参加者のひとりなわけだ。





「準備終わったの?ポーションとか持っといた方がいいよ?」

「うん、だいじょうぶ。ちゃんと持ったよ」

「そっか。頑張ってね、私もビビなら結構良い線いくと思うよ」

「ほんと?ありがとう。じゃあ…頑張ってみるね」

「うん!応援してる」





そうやって笑いかけた。

するとビビは「あの、それで…」とどこかモジモジし出す。





「ん?どうしたの?」

「あの、僕…ナマエにお願いがあって…」

「お願い?」





首を傾げるとビビは頷いた。

ビビが私にお願い…?
うーん、なんだろうか。





「あのね、ジタンは優勝したらダガーお姉ちゃんにデートしようって頼んだって」

「え?あー、ジタンらしーねえ」





ビビの話を聞いて、小さく笑った。

うん。ジタンなら言いそう。
「俺が優勝したらデートしようぜ!」的な、ね。

まあ、ダガーは色々抱え込んでるみたいだから、気を紛らわせてあげようっていう部分もあるんだろうけど。

だからジタンらしいなあ、って笑った。


でも、そこまで聞いて思ったのは、それがビビのお願いにどう関係するのかと言う事。





「それで?ビビのお願いって?」

「あ、うん…だからね…」





ビビはまたモジモジと、今度は帽子を深く被り直している。





「ん?なあに?」





なにか緊張してるのだろうか。

そう思ってまたそっと笑いかけながらビビの顔を覗き込む。

するとビビは顔を上げた。
大きな瞳と目が合う。





「あの…だから僕も、きっと出来ないと思うけど…でも、もしも優勝できたら、ナマエに、デート…して欲しいんだ…」

「へ?」





思わずビックリして間抜けな声を出してしまった。

おっと…いけないいけない…。
いやでも、ちょっと予想外のお願いで。

けどビビの様子を見てたら、大きな勇気を振り絞って言ってくれてるってすぐにわかったから。

その気持ちは、ちゃんとわかったよ?





「ダガーじゃなくて私でいいの?」

「う、うん。僕は…ナマエがいい…」

「うん。じゃあいいよ」

「え!い、いいの?」





今度はビビがビックリする番。

そんな反応が可愛くて、ちょっと笑ってしまった。

でも、だからちゃんと「いいよ」ってもう一回頷いてあげる。
するとビビは「ありがとう!」って嬉しそうな声でお礼をくれた。





「どこ行こっか?」





リンドブルムは大きな街。
見るところがいっぱいある。

商業区、劇場区。
色々案内してあげるのを想像したら、なんとなく楽しい気分になってる自分が居た。



END


ビビ好きだよー。可愛いよビビー!
そんな可愛さ出し切れなくてすいません。←

狩猟祭、私は毎回フライヤ優勝ですが(笑)
だってギルよりカードよりさんごの指輪がいいじゃないか!(爆)

あとザグナルちゃん出すの面倒で…(おい)

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