約束

ぽかぽか。
あたたかい日差し。
そよりそより、と緑が揺れる。

そして、そんな風景に良くマッチした黄色いチョコボたち。

ここは言わずと知れたチョコボファーム。





「ねー、クラウドー」

「なんだ?」





柵に手を掛け、ひょこひょこと歩くチョコボを眺めながら隣にいるクラウドに声を掛ける。





「次にゴールドソーサー行ったらあたしにレース出させてよ」

「別に構わないけど…どうしたんだ、急に」

「いや、楽しそうだなって思って」





チョコボ仙人から野菜買ったりして丹精込めて育てたチョコボたち。

そんなチョコボに跨り颯爽とレースするなんて楽しそうじゃないか、といつもレースしてるクラウドを見て思っていた。

…でも、もういっこ。





「でさ、あたしが優勝したらご褒美にデートしよう」

「…は…!?」





目を丸くしてる彼。
は?じゃないよ、クラウドくん。

提案、ていうかお願い。
いやむしろ実際こっちが目的なんだけど…。





「だってさだってさ、前にロープウェイが故障したことあったじゃん」

「あ、ああ」

「あの時バレットとデートしたんでしょ?」

「……デートじゃない」





途端、眉をひそめるクラウド。

あれ?





「え、だって聞いたよ。バレットとふたりでゴンドラ乗ったって」

「…誰から」

「ユフィが見たって」

「(ユフィ…覚えてろ)」

「あたしあの時すぐに寝ちゃってぐっすり夢の中ーだったからさー」

「…ああ」

「バレットとクラウドがデートしてたなんて知らなくて…」

「デートじゃないって言ってるだろ」

「じゃあゴンドラ乗ってないの?」

「…乗った、けど」

「じゃあデートじゃん」

「……。」





指摘するとクラウドは頭を抱えた。

でも何でバレットと乗ったんだろうか。
そこは謎だな。

ユフィいいな、あたしもそれちょっと目撃したかった。

いや、むしろバレットのほうが羨ましいか。
だからこうしてお願いしてるわけだもの。





「あのね、結構勇気出してるんだよ、これでもね」

「…ナマエ」





そうそう。
なんだかこんなアッサリしたテンションで話してるけれど結構頑張ってるんだから。

こんな積極的なタイプじゃないし。
でも、ここまで来たらもうちょっと頑張るよ。





「バレットいいなー。羨ましー。あたしもクラウドとゴンドラ乗りたかったな」

「いや、バレットは…」

「ん?」





ん。クラウドは何か弁解があるようだ。
どんな弁解があるのか。

それもちょっと興味あり、というか好奇心ありで耳を傾ける。
好き好んで乗ったわけではないだろうってのはわかってるし、からかうのも楽しくなっちゃってる自分もいたりするのは認める。





「ただ散歩しないかって誘われただけで…」

「うん、それもデートだよね」

「…違う。というか聞け」

「はいはい」

「…いや、こんなことならバレットに言われた通り誘えば良かったか…」

「え?」





するといきなり自己解決しだしたクラウド。

ちょっと待て。なにひとりで解決してるんだ。
聞けとか言ったんならあたしにもわかるように説明しろ。





「ちょっとクラウ、」

「ナマエ」





文句を言ってやろうと口を開けば、絶妙なタイミングで遮られた。

なんかちょっと虚しい…。

でも名前を呼ばれたのでおとなしく彼を見る。

クラウドも真っ直ぐこっちを見てた。
…そんな見られるとちょっと照れてくるんだけど…。
でも頑張って目を合わせた。





「…俺とデートって、本気で言ってるのか?」

「ん?本気だよ?なんで?」

「いや…ただゴンドラ乗りたいだけとか」

「だったらユフィと乗りに行く。わざわざチョコボレースとか持ち出さない」





ただゴンドラ乗りたいって…。

ううん、なんか微妙に通じてなかったな…。
んん…こういう時って日頃の行いが物を言ったりするんだよねえ…ちょっと反省。

ま、ここまで言ったらもう通じたと思う。
その証拠、かどうかはわからないけど、クラウドはさっき自己解決してた事を話しだしてくれた。





「…バレットには、誰か誘えば良かったじゃねえか…て言われたんだ」

「誰か?誰か誘うつもりだったの?」

「……。」





それは気になる。
だから尋ねてみると、クラウドは一度、一呼吸置く様に黙った。

そして置いたあと、教えてくれた。





「…あんたをだよ」

「え?」

「ナマエを、誘えばよかったって…思った」





そう言うと、クラウドはふいっと視線をそらした。
でも見ていれば頬だけでなく耳まで赤く染まっているのが見えた。

……あたし…?
ちょっと驚いて目をぱちくりさせてしまう。

ていうか何ですか、その反応。





「…ナマエがそう思ってくれてたなら、あの時誘いに行けば良かったなって、思ったんだ…」

「……。」





ええと、それってつまり。
あたし、自分の一番いいように捉えちゃっていいかな。

それを確かめたくて、もう一度聞いてみた。





「じゃあ、レース勝ったらデートしてくれる?」

「…しなくても、だ」





そしたらそう答えてくれたから、あたしは「やった!」っと笑った。
それを見て、クラウドも小さく笑ってくれた。

勇気って、出してみるものだね。
ああ、幸せって、そうやって思えたから。





「あー、でもあたしあの日、本当に爆睡してたから誘いに来てくれても起きなかったかも」

「……。」





手を繋ぐ。

そうしながらハイウインドに戻る途中。
何気なく言ってみたら、クラウドは返事をくれなかった。


END


バレットとデートした前提の話(笑)

皆さんは誰デートが一番好きですか?
私はチョコボデータ使って全部見たんですけど。

いやあ、全部いいよね!w
全部見る価値は十分にあるわ。

でもゲームのストーリー的にはやっぱエアリスが一番いいかな。
「あなたを探してる」って意味がわかると、もうヤメテー!ってなります。(何)

全部語ってると大変なことになるからこの辺でやめておこう…。←


ていうか時期設定いつだこれ…?(おい)

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