泥棒とわたし、そして王様

「ねえ、泥棒。ちょっとお願いがあるんだけど」

「お願いする態度か、それ」





ちょいちょい、と肩を叩くと、目を細めながらこっちに振り向いたバンダナの彼。

あたしは彼にひとつの箱を差し出した。





「あのね、この宝石箱なんだけど」

「おいおい、気持ち良いくらい無視してくれるな」





かるーく流したロックの台詞。

別に無視したわけじゃない。
あえて反応しなかっただけだ。

しかし、彼はそれを逃さなかった。

…細かい奴め。





「…だって、ロック泥棒じゃん」






ぼそっとそう溢す。

すると彼は「ちっちっち」と首を振った。





「俺はトレジャーハンターだって!いつも言ってるだろ?」

「うん、いつも聞いてる。でね、この宝石箱なんだけど…」

「さっきから、何事も無いように流すなよ」

「だって別にどうでもいいもん。聞き飽きたし」

「毎度毎度ナマエが俺のこと泥棒って言うからだろ」

「だって泥棒じゃん」





ピシッと指摘すると、ロックは「はあっ」と溜め息をついた。

溜め息なんかつかなくたってロックが泥棒だって認めればいいだけの話よ。
でもそんなに泥棒が嫌だと言うのなら…。





「じゃあ何、墓荒らしとか?」

「もっと人聞き悪いだろ!?なんてこと言うんだ!」

「え、じゃあさ、フィガロ城の近くに実はピラミッドあるって知ってる?」

「え?そうなのか?」

「まだあまり人が入ってないらしいからお宝あるかもね」

「へえ!じゃあ明日にでも行ってみるか。どの方角なんだ?」

「ほら、墓荒らしじゃん!嘘だよ、ピラミッドなんて」

「……。」





ロックは黙りこくった。

素直と言うか、なんと言うか…。
今の流れでハメられることわかんなかったのかな。

そう思っていると、ぷいっと、そっぽ向かれた。





「もうナマエなんか知らん!どうせその宝箱、鍵でもなくしたんだろ?」

「お、スルドイ」





そう言ってから気がついた。

あ…まずい。
ちょっとやり過ぎたかも。

今更になってちょっと後悔。





「ロック〜?」

「空けてって言うんだろ?残念でしたー。もうお前なんか知らねーからなー」

「う…。世界一のトレジャーハンターのロック様ぁ、そう言わずに…」

「今更遅い!ちなみに、こないだ洞窟で綺麗なペンダント見つけたからナマエにやろうと思ってたけど、それも没収な」

「ええ!?なにそれ!聞いてない!」

「言ってないからな」

「なにをー!ロックずるい!やっぱアンタなんか泥棒だー!」





ぎゃーっと騒ぐ。

そんな様子に砂漠の王様がひとつ。





「お前達仲良いな。でも毎度毎度、城で騒ぐのはやめてくれないか?」





見慣れた様子でそう溢し、アンティークなティーカップに口付けた。



END


ロックー。
…のキャラってこれでいいのかしら?(汗)

ロックも結構好きですー。
最後だけエドガーも出してみたり…。ていうかタイトルがね。

ヒロインはリターナーかな。
時期は…ティナに会う前、てかゲーム開始前ですね。

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