君が行くならどこへでも
時は、メテオの浮かぶ空。
セフィロスとの決戦を前に、各地を巡り、強い武器やマテリマの回収をする日々。
ジュノン近郊。
ザザーン、という波の音。
あたしは体育座りをしながら、ひょっこり海の中から半分くらい覗く潜水艦を眺めていた。
「海の中、もうちょっと色々探検してみたいよね」
「はぁ?絶対ありえないんだけど」
海底世界へのわくわく。
素直に零したら、速攻で隣から否定の言葉が返ってきた。
それは隣で胡座をかいてるユフィから。
「む!なんでさ!古代種の鍵とかあったじゃん!きっとまだまだ未知のお宝とかいーっぱい眠ってるとか思わない!?」
「あたしはもう二度と潜水艦なんてゴメンだね!お宝はナマエがとってきてあたしに届けなよ」
「なんで良いとこだけ取ろうとするんだお前!!えー、景色とかも珍しくていいじゃんよー、ねえ、レッド?」
「んー、まあ確かに不思議な世界だよね。オイラはナマエの言ってることわかるよ」
「レッド…!!」
ユフィとは逆隣に寝そべっているレッド。
やっぱり君はあたしの味方…!!
あたしはキャー!!とレッドに抱きついてわしゃわしゃ撫でくりまわした。
「ちょっとナマエ、ボサボサになる」ってやんやり逃げられた。…すみません。
まあでも、好意的な意見を返してもらえたのは有り難い。
「じゃあレッド、一緒に海底探索行こーよー」
「それは別にいいけど…でも前も言ったけど、オイラの足じゃ操縦は出来ないよ?ナマエがするの?」
「う…それは…」
言葉に詰まった。
奇しくもこのメンバーは海底魔晄炉に潜入した時の顔ぶれだ。
だから潜水艦には全員乗ったことがある。というか、だからこそ話振ったのもあるけど。
で、その時見た潜水艦の操縦席は…まあ、ボタンやモニターがいっぱいあってなんのこっちゃと。
あたしアレ絶対いじれる気がしないってもう頭が説明見るのも拒否してたんだよなぁ。
あの時は酔いながらもクラウドがなんとか操縦してくれたけど…。
「うーん…シドあたりにでも頼んでみるか…?」
仲間内で操縦が出来そうな人を考えてみる。
まあ、シドならなんか乗り物だいたい何とかしてくれそうな気がする。
コレル魔晄炉でも汽車運転出来てたし。
いやアレはよくわからねえとは言ってたけど。
でもなんというか、乗り物に対しての基礎知識というか、慣れてる感というか、そういう安心感はあるよね。
「何?シドに頼むわけ?」
「まあ、一番機械には強いよね」
「ね。ちょっと頼んで来ようかな…」
シドならハイウインドの操縦席あたりにいるだろう。
ちょっくら行ってこようかしら。
そんなことを思ったその時、背後から声を掛けられた。
「海底、行きたいのか?」
ん?と、ユフィ、レッドと一緒にくるりと振り向く。
「クラウド!」
そこに立っていたのはクラウド。
いやま声でわかったけど!
あたしがクラウドの声間違えるはずないけど!
あたしが名前を口にすると、クラウドはあたしたちに視線を合わせるようにしゃがんだ。
「操縦、俺がしようか?行きたいなら付き合うぞ?」
「え、でもクラウド、酔っちゃうよね?」
自分がするぞ、と申し出てくれたクラウド。
でもそれにはちょっと戸惑った。
いやね、確かに海底魔晄炉の時はクラウドがしてくれたよ?
でもさ、クラウドはユフィと同じ、乗り物酔いの筋金入りなわけさ。
あの青白い顔…流石に可哀想だなとは思ったわけですよ。
ユフィにだって行こうよとは言ったけど、無理強いするつもりはサラサラだ。
だからクラウドも候補からは外してたんだけど…。
「まあ確かに…酔いたくはない。でも操縦していればそこに集中するから、わりと大丈夫だ」
「んー…そう?本当に大丈夫?」
「ああ。それにナマエが行きたいなら、俺はどこでも付き合うよ」
「クラウド…!」
ずぎゅーん!!!!
あ、今、胸に物凄い矢が突き刺さった。
微笑んでそんな!!
そんなこと言ってくれちゃうんですか!!?
何のご褒美なのマジで!!!
あたしがそうキュンキュンする一方。
両隣ではレッドが「わあ」って言って、ユフィが「…バカップルが」ってケッと舌打ちした。
END
くっついた直後の時期なので、かなりバカップルしてますっていう。