あたたかい夜



「どうした、まだ交代の時間じゃないぞ?」





もそもそっと抜け出したテントの中。
焚火の前に座るクラウドは、そんなあたしに気がついて振り返る。

クラウドとレッドXIIIと、慣れた面子の野営のひととき。

あたしはタオルケットを羽織ったまま、焚火の前に座った。





「なんか目、覚めちゃった。もう交代してもいいよ?」

「駄目だ。ちゃんとペースを考えてるんだ。もう少し寝ておけ」

「って言われても全然寝れる気しないよー」





ほらほら、目!
ぱっちりバッチリ覚めちゃってるでしょ!

ぴしっと両目をそれぞれの人差し指で指さしてニマーッと笑ってみる。

そしたら溜め息つかれてしまった。





「…明日になって眠いとか言っても知らないぞ」

「えへ。心得ておきまーす!」





正直、反省の色とかは全く無しだ。

そんな様子のあたしを見て、クラウドがやれやれ…って顔してる。
でもどっかでは少し笑ってるようにも見えた気がした。

あたしが起きてる事を許してくれたクラウドだけど、彼自身もまだ見張りを交代する気は無いらしい。
つまりは、他愛のない会話をしながら二人で見張りをやってるような感じになった。





「寝起きで寒くないか?」

「うーん、まあ全然寒くないって言ったら嘘になるけど大丈夫。クラウドも寒いでしょ?」





ひゅう、と吹く風はひんやりしてる。
だからタオルケット掛けたまんまなんだけど。

あー、焚火はあったかいなー。
ゆらゆらしてる赤い炎にほっこり頬が緩んできた。





「今日は少し肌寒いからな。もしかしてテントの中冷たいのか?寒くて眠れなかったか?」

「あ、ううん。それは全然!だってほら、そこは我らがナナキくんがいますから!」





ぴしっと親指立ててグッ!!

するとクラウドは顔をきょとんとさせていた。
あ、何その顔。なんか可愛いな、クラウド!

変わらずのクラウド病炸裂なのは、もうドンマイだよね。





「…ナナキ?」

「イエス、ナナキ」

「レッドXIIIがどうした」





疑問顔のクラウドおにーさん。

あれ。なんか予想外。
レッドXIIIの名前出せば、すぐにわかってもらえると思ったんだけど。





「あたし、テントの中だと結構レッドに抱きついて寝てるんだよ」

「抱きついて…?」

「うん。ふっかふかであったかくて気持ちいんですよ、これが」





あのもふもふ!
もう思い出すだけでももうたまんないよね。

それに体温を持っているからそれだけで温かいし、向こうも向こうで「ナマエ〜」って擦り寄って来てくれるから最高だ。

そうしてニマニマしていると、話し相手のクラウドさんはちょっとイマイチな反応。





「…そうか」

「ん?あれ、あんま共感とかしない感じ?」

「いや…まあ、あたたかいんだろうなとは思う」

「うん、あったかいよ〜」

「ああ…なんというか、相変わらず仲がいいなと思って」

「ああー、うん、あたしナナキ好きよ〜」

「ああ、きっとレッドXIIIも同じように言うんだろうな」





そう言ってクラウドは傍にあった薪を焚き火へとひとつ投げた。
ゆらりと炎が波打つ。それを見つめる彼にあたしはへらっと笑って聞いた。





「羨ましい?」

「っ!?」





するとその時、クラウドがぎょっとした顔でこちらを見てきた。

え、あれ。
なんか予想外の反応であたしもちょっとビックリした。





「え、レッド多分クラウドでも同じように言うと思うけど。あの子よくクラウド〜って寄ってくし」

「え…レッド、XIII…?」

「うん?違うの?」

「え、あ、いや、うん。そうだな、そうだったらいいな」

「うん…?」





なんとなく歯切れの悪いクラウド。

なんか話が噛み合っていない気がした。
ていうか絶対噛み合ってないだろう。

でも追及するとなんだか凄く長くなりそうな気がする。

なら、まあいいかと適当に頷いておく。

クラウドはまた薪を投げた。
ちょっとペース早くないだろうかという突っ込みは、まあ置いておこうかな。





「焚き火、あったかいね〜」

「…そうだな」





あたしは焚き火に手をかざす。
そしてちらりと向かいの彼を見つめる。

ああ、格好いいな〜なんて。
目、覚めてよかった。クラウドとふたりで話せるとかめっけもんだ。

そうして胸がほっこりするあたしは多分能天気。

でも、幸せだから良いのです。



END


クラウドはナナキに対して羨ましいなって思ったっていうお話です。
でもそんながっつりじゃなくて、ちょっとだけ思ってただけなのに突っ込まれて焦っちゃった的な。

うーん、描写不十分なんだぜ…!ごめんなさい…!!




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