｢ホワイトクリスマスだね！｣
冬の空。
真っ白な雪がふわふわと落ちてくる。
窓に手を添えて、ナマエはそれを見ながらそう楽しそうに笑った。
｢そうだな｣
そんな笑顔を見たらつい釣られて。
俺も口元を軽く緩ませ、頷いた。
｢クラウド、ちゃーんとプレゼント買ってきた？｣
｢ああ、あれだけ念を押されればな｣
｢あはは！｣
二人で過ごすと決めたクリスマス。
イベント事の好きなナマエは、プレゼント交換をしたいと俺に何度も持ちかけて来た。
別に断る理由もないし、それでナマエが喜ぶなら…。俺にとってはお安いご用だった。
だから快く承諾し、ちゃんとプレゼントを用意しておいた。
｢はい、あたしからはコレだよ｣
｢ああ、ありがとう。…開けてもいいか？｣
｢どうぞどうぞ｣
ナマエから差し出されたクリスマスカラーの包装をされた箱。
包装をほどき、箱を開けば…そこにはずっと俺の欲していたものが入っていた。
｢！…これ｣
｢へへ、バイクパーツ。クラウド、お店行く度にいつもそれ見てたからね。本当、フェンリルいじるの好きだよねー｣
｢高かっただろ…、いいのか？｣
｢年に一度のクリスマス、クラウドの為ならどうってこと無いですね｣
そうやって｢喜んでもらえてよかった｣と笑うナマエは、嬉しそうだった。
同時にじんわり…胸に広がった、あたたかい感情。
自分がいかにナマエのことを考えがえているのか…改めて知った気がした。
２年前…。
あの旅の中で出会って、今は隣でこうしている。
ずっと望んでいた未来が今、ここにあるのだと…思う。
｢…なあ、ナマエ｣
｢ん？｣
ポケットの中に手を入れれば、こつん…とぶつかった小さな箱。
それがちゃんと入っていることを確認して、俺はナマエを真っ直ぐ見た。
ナマエも、俺を見て優しく微笑んでいる。
｢今まで、いろんなことがあったよな｣
｢いろんなこと？｣
｢セフィロスとの戦い、メテオとか…、星痕にカダージュたち｣
｢…うん？｣
自然と…俺の声が少し、真面目なものに変わったからだろうか。
ナマエもしっかり…俺の話に耳を傾けてくれた。
いままで…本当にいろんなことがあった。
｢俺は…情けない自分が嫌で、それで自分を見失ったり、星痕が出てから…家を開けたり…｣
｢うーん…、まあちょっと、寂しかったかな？｣
ナマエは眉を下げて笑った。
それを見たら、すこし苦しくなった。
だって…きっと、すごく心配させたと思うんだ。
それは…自惚れではなくて。
そうだとわかるくらい…ナマエはいつの時も、俺が戻ってこれた時…涙を浮かべて喜んでくれたから。
｢…たくさん、迷惑もかけたよな…｣
｢迷惑なんて…思ったこと無いよ？気にしない、気にしない｣
君は、また笑った。
俺達は…自分の大切なものの為に戦った。
自分の為、大切な何か、誰か。
これからも…そうやって、自分と大切なものの為に歩いていくと思う。
…いきたいと、思うんだ。
｢俺は…強い人間じゃない。でも、人並みに失いたくないものだって…たくさんあるんだ｣
｢うん｣
｢その中でも…ナマエのことは、特に…｣
｢…クラウド｣
内心、凄く緊張していた。
だから…考えていた台詞なんて、どこかに行ってしまっていた。
でも…それで良かったような気もした。
もしかしたら支離滅裂になってるかもしれない。
だけど…今、俺の口から出てる言葉は…嘘偽りない、俺の言葉だろうから。
｢情けない部分は、たくさんある。でも…これからも、俺はあんたを…守っていきたい。助けられる存在でありたいんだ｣
｢……。｣
｢だから…｣
ポケットから、ゆっくり手を抜き出す。
一緒に取り出した小さな箱。
ゆっくり開けば…きらりと光った。
コレの為に…クリスマスまでずっと配達にかまけてばかりだったけど。
その分、いいもの…見つけられたと思うんだ。
｢結婚して欲しい｣
君を生涯、守り続けるために。
END
ゆめ様リクエスト。
今回は７かACで、クラウドかヴィンセントとのことでしたので…ACクラウドの方にしてみました。
理由はですね…クラウドの方がすぐ思いついた、という単純な理由です。←
内容はクリスマスに乗じたプレゼント交換やプロポーズ。
ACというよりかは、ACが終わってすぐくらいになってしまいましたが…。
あとほんのり切甘をご希望されていたのに、全然応えられてなくて本当スミマセン…！
ACクラウドは自分の弱いとことか、ちゃんと理解出来てそうなので、それを強調しようとしたら妙にヘタレてしまいました。(笑)
あとプレゼントもなんかふにゃふにゃしてますねえ…。
クラウドが興味ありそうなものって、バイクくらいしか浮かばなくて…。
他に何があったかしら…。
ええと…こんな感じですが…、ちょっとでも楽しんで頂ければ…。
リクエストしてくださって、ありがとうございました！
×