僕の大切なもの



ふわっと舞った、白いモノ。
それはいつでも見られるものではなく、限定的なモノで。

お祭り大好きなあたしが、それを見て黙っていられるはずがなかった。





「「雪だー!!!」」





感極まってつい叫んだら、同時に、まったく同じタイミングで声が重なった。

あまりにナイスなタイミングで。
目を丸くしてそっちを見たら、そこには「へへっ」と楽しそうに笑う彼がいた。





「バッツ」

「すごいな、俺達。考えてることぴったりだ」





これぞ以心伝心?なんて、よくわかんないこと言い出す。

でも、あたしはそんな彼のノリが大好きで。
ていうか、あたしもそんなタイプで。





「そーかもね!」





だからそうやって笑い返してやった。





「しっかし雪かー。テンション上がるよな、やっぱ」

「うん!ちょっと寒いけど、でも嬉しさの方が勝るね」





降ってくるそれを、手を掲げて集めていく。

するとバッツはあたしの顔を見て、聞いてきた。





「寒いか?」

「ううん。平気平気」

「そっか、こーゆー時って、チョコボにくっつくとあったかいんだよなー」





バッツはそう言いながらまた、へらっと笑みを浮かべた。

元の世界を思い出しているのだろうか。

バッツには相棒のチョコボがいて、その子と一緒に世界を旅していた。
その相棒を思い出しているみたい。

でも…雪の日に、チョコボかあ…。





「へえ…確かにあったかそう。いいなあ…」





ぼんやり想像した。

あたしの世界にもチョコボはいた。
黄色くて、人にも懐くあの姿は、とっても愛くるしくて大好きだ。

でも、寒い日にくっつくとは…。
なんでもっと早く思いつかなかったんだろう…!

言われて何だか無性に試してみたくなった。





「ああ、すっげーあったかくて気持ちいいぞ!」

「えー!いいなあ…、モーグリはその辺に浮いてるけど…チョコボは見ないしなあ…」

「ははっ、あいつが此処にいればいいのになあ」





持っていたお幸運のお守りと言う名のチョコボの羽と手に、バッツは相棒に想いを馳せてる。

その横顔は、本当に懐かしそうに、嬉しそうに。
そんな風に大切に思っている相棒がいるなんて、とっても羨ましいなあ、って思った。

あたしがそんな横顔を見て微笑んでると、ぱっと、バッツがこっちを見た。
目が合うと、またいつもの明るい笑顔を浮かべた。





「本当、此処にいてくれたら良いのにって思うよ。ナマエにも撫でさせてやれるし。なによりさ、紹介出来るしな。ナマエに、こいつが俺の相棒だよって」

「あ、いいね!紹介してほしいな!」

「だろ?それに、あいつにも。ナマエのこと、俺の大切な子だって言えるしなー?」

「えっ…」





にやっと、どっかわざとらしく、狙った様に。

ふ、不覚…。
思わず、頬がぼっと熱くなった。

…なんでだろ。
いつもはさっきの以心伝心みたく、ふざけても全然返せるのに。

でも、やっぱ嬉しかったのかもしれない。

だって、バッツって本当にその子の事、楽しそうに話すから。
そんな大切な相棒に、そうやって紹介してくれるんだなあ…って思ったら。





「バッツ」

「ん?」

「…ありがと…」





そう言ったら、少しだけ冷めた指を包むように、ぎゅっと手を握ってくれた。



END



桜井様リクエスト。
今回はDFFのバッツ。
雪が降ってきてはしゃぐ甘々のふたり…とのことでした!

…え、ええと…まず、はしゃいでない!!(爆)
一番最初だけか…。←

あと、甘々ではない…ですよね…。
しかもボコがでしゃばりすぎで雪があまり関係なく…。

な、なんか色々中途半端でごめんなさいいいっ…!!

バッツはDFFではボコの名前を呼んだことは無かったような気がするので、あえて名前は出さず…。変なとここだわってます。(笑)

こんなんですが、少しでも笑って頂ければ幸いです…。

リクエストしてくださって、本当にありがとうございました!









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