異世界転生編 feat.宙

※ゴーストゲームとのクロスオーバー。
※夢主たちは宙と同じ学校のモブ(なのでアニメ本編には絡まない)という設定。
※深く考えずに読んでください。

 とある休日。駅前のショッピングモールへ出かけた宙とコタロウは、買い物をしたりゲーセンで遊んだりしたあと、休憩がてらフードコートに立ち寄った。

「コタロウ、さっきから何きょろきょろしてんだ?」

 空いている席を確保して、注文した店の呼び出しベルが鳴るのを待っているときだった。ついさっきまで調子よく好きなアイドルの話をしていたコタロウが、突如として口を閉ざした。そして奇妙なほど真剣な表情で、宙の背後にある何かを目で追っている。

「あれだよ、あれ」
「どれのことだよ」

 気になった宙はコタロウの視線の先を追いかけて後ろを振り返ったが、特別目を引くような何かがあるようには思えなかった。ちょうど昼時ということもあり、あたりは家族連れや友達同士のグループで賑わっている。フードコートにいる人々は、皆普通に食事をしたり、普通に席を探したりしているように見えた。困惑する宙に、コタロウは呆れ顔で少し離れた場所にあるテーブル席を指差した。

「あっちだよ。ほら、あそこのラーメン屋の前」
「あれって……桂と月森さん? あの二人がどうかした?」

 コタロウの視線の先にあったものを見つけてなお、宙は友人が一体何をそんなに気にしているのか判然としなかった。外出先でクラスメートに遭遇したからと言って、そんなに驚くほどのことだろうか。同じ寮で暮らしているのだから、休日の行動範囲が似通っていても不思議ではない。平然とした態度の宙に、コタロウは「そういうことじゃねーよ」と大げさにため息をついた。

「あの二人、付き合ってるってマジだったんだな」

 なぜか少しがっかりしている様子のコタロウに、宙は苦笑いを浮かべた。そういう噂を耳にしたことがないわけではなかったが、宙はいつも適当に聞き流していた。

「月森ってさー、桂とそれ以外の男子で態度違いすぎじゃね? 可愛いけどちょっと性格アレだよな」
「さあ……俺、あんまり喋ったことないし」

 話の途中で、宙の方の呼び出しベルが鳴った。「お料理が出来上がりました」の文字が浮かび上がる。受け取りに向かおうと歩いていったところで、セルフサービスの水が入った紙コップを三つ、器用に持った状態の桂とすれ違った。声をかけるかどうか微妙な距離感。向こうは宙の存在に気づかなかったようで、そのまま通り過ぎて行った。

 ふと、桂が三人分の紙コップを持っていたのが気になって、宙はちらっとその行末を目で追った。隣のテーブルと仕切られたボックス席。その奥に隠れていたのでさっきは気がつかなかったが、桂たちのテーブルに、小学校の低学年か、それより少し幼いくらいの男の子も一緒にいるのが見えた。桂と月森さん、どちらかの弟だろうか。

 その子が持っていたアイスクリームが溶けて手に垂れてきたところへ、桂が素早く紙を差し出している。その様を見ていて思い出したのは、今は留守番をしている自分の弟のことだった。あとでお土産でも買って帰ってやろうかなと思いながら、宙は料理の受け取り口へと向かった。

2023/07/10


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