好奇心の先 | ナノ



(ひとりで玩具ぷれい)





ありがとうございましたー、と爽やかに去っていった宅配便の青年をきっちり見送り、トラックが走り去るのまで確認し玄関の鍵を閉める。ぱたぱたと鳴るスリッパに急かされているような変な気分になりつつ、リビングを通り過ぎ二階の自室へ滑り込む。

(手汗、ひど…)

小包を抱える掌が湿っているのに半ば呆れながらも、スプリングを軋ませベッドへ腰掛けた。サイドボードに置いてあるカッターでガムテープの封を切る。緩衝材の中から現れたそれらに、臨也はこくりと喉が鳴るのが分かった。

ダンボールの中に鎮座する、小さなボトルと男性器を模したコード付きの水色の機械。丸い球が幾つか連なる物体。
所謂、『オトナのオモチャ』である。

「う、わ…」

思わず声が漏れた。当然こんなオモチャを買ったのは初めてだし、目にするのも初めてだ。俺は一瞬迷ってから、男性器そっくりなバイブに手を伸ばす。パッケージを開くと電池が転がり落ちてきて、我ながら慣れない手つきでセットする。どきどきしながらつまみを捻ると、うぃんうぃん、ありふれた電子音と共に水色の本体部分が回転を始めた。驚いて取り落としてしまったそれは、低い音を響かせながら整えたシーツに皺を寄せる。
しばらく茫然と見つめていたがはっと我に返ってスイッチを切り、もうひとつも箱から取り出した。

(なんだっけ…確か、アナル拡張とかって書いてあったような…)

なんの変哲もないブルーの球が少しずつサイズを違えて連なっている。一番後ろの球には指を引っかけるための輪が付いており、実用性を追求したデザインにいっそ感心すら覚えた。

「……っ、」

ぞくぞくと、背筋をなぞる興奮。
はぁ、と洩れる息に無視できない甘さが含まれ、臨也はズボンのベルトに手をかけた。











くちゅ、ぬる、

「ん、う、」

ぐちゅ、

うつ伏せに寝転がり、ボトルのローションを指に絡ませ後ろに触れる。ねとりと粘つくローションのおかげで、後孔は難なく指を受け入れた。1本、2本と含ませ、中をかき混ぜる。後ろを使って自慰なんて経験がない。自分のいいところがどこかなんて分からない。臨也はぬるつく指を生温かい穴の中でひたすら動かした。

(も、いい、か…)

正直加減が分からなかったが、目の前のオモチャを早く入れたいという欲求が判断を急がせた。指を引き抜きシーツの上に転がるブルーの三連球を掴む。乱れた息を整えながらボトルをそれに傾け、丹念に濡らす。

「…、は、」

ゆるゆると腰を上げ、穴のそばに指を這わせる。ローションで滑る球を、後孔に押し当てた。

「あ、ぁう…っ!!」

ぐぷり、音を立てて一つ目の球が侵入してきた。三つの中でも一番小さいのでさほど違和感はない。身体の力を抜くように息を吐いて、そのまま球を奥へと進めた。

「い、ひああっ!あ、ひろ、ひろがってぇ…うあっ!」

三つを飲み込んだ後孔は熱を持ち、異物感に思わず下腹部に力を入れてしまう。ごり、と中でそれぞれがこすれる感触がよりリアルに感じられ、喘ぎ声が部屋に響いた。取っ手の輪だけが自分のそこから覗いているのを想像して、また身体が震えた。取っ手部分に指を引っかけ、ぎゅうと目を瞑る。思い切り、引っ張った。

ぐぷん、くぷ、

「ふああああっ!」

まろい球が後孔を押し広げながら飛び出し、排泄感に膝が笑い崩れる。身体の不規則な震えの中ふと下半身を見ると、白濁で濡れていた。

(後ろだけでイくとか、俺どんだけ変態だよ…)

慣れない行為に疲労は隠せない。シャツは着たまま、下半身だけに色濃い行為の後を残しながら、もうひとつのバイブをぼんやり見た。

「これは…あとでいっか…」

どうせ、夜もやるんだし。

ふー、とひとつ息をついて、臨也はぺたぺたと覚束ない足取りでシャワールームに向かった。














おいおいバイブが使えなかったぞどうしてk



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