(エロ練習) (モブが相手だよ) そこは、どこかの廃屋のようだった。 以前は工場だったのだろうか。鉄筋やパイプ、大小さまざまなネジが点在し、高い所に等間隔に並ぶ窓のガラスはもれなく割れるかガラス自体が無くなっている。大きな扉は南北方向にあったが、いずれも錆ついていて、誰かが出入りするたびに金属の擦れる低音が広い空間に乱反射した。 その廃屋の、一番奥まった場所に、男が数人たむろしていた。 歪な円を描くように彼らの中心には空間ができている。その中央には、男のピストン運動に力なく揺さぶられる、新宿の情報屋の姿があった。 何か気に食わなかったのか、男がふいに掌を振り上げてそのまま目の前の尻へ振り下ろす。皮膚が皮膚を叩く高い音にワンテンポ遅れて、情報屋―臨也が悲鳴を上げる。 「ひっ!」 「おいおい、勝手に落ちてんなよな」 「穴の具合はどーよ」 「だーめだ、ゆるみきってら」 「あ、あ、うぁ」 「叩いてもだめかよ」 「ちっとは締まるけど、なっ!」 「あ゛あっ!」 再び尻を叩かれ、臨也はなすすべもなく身を震わせる。両手を拘束され、コートは数メートル先にごみのように捨てられ、インナーは破るように脱がされた。獣の交尾のように腰を上げ代わる代わる男たちの欲をぶつけられ続けた臨也の表情は、疲弊しきっていた。 下半身は精液でどろどろに汚れ、無理やり拡げられた後孔からは男が出入りするたびぐちゅぐちゅと卑猥な音が聞こえる。最初の挿入での出血は、すでに渇いて白い太ももにこびりついていた。 男の動きが急いてくる。臨也は閉じることのできない口の中で、もうやめろ、と呟いたが、男に聞こえるはずもない。 「あっあぅ、うあ、もう、やっ、」 「拒否権はねえってまだ分かんねえのかよ」 「い゛あっ!」 「はっ、出す、ぞ」 「あ、あ、ああ―――」 勢いよく吐き出された精液の熱を身体の奥に感じながら、臨也は申し訳程度に性器の先端から残滓を溢す。 擦り付けるように何度か腰を揺らした男がずるりと身体を引くと、拡がりきった孔からどろりと白濁が足を伝った。 支えを失い床に転がる臨也の目に生来の意志の強さは感じられず、よどんだ赫い瞳が男たちの足元を写すだけだ。 「あーあー情報屋さんだいぶぶっ飛んでるなあ」 「おいカメラちゃんと回ってるか?」 「俺らの顔は映すなよー?」 「んじゃ次は玩具つかってみますかねー」 げらげらと哄笑する男たちが再び近づいてくるのをぼんやりと感じながら、臨也はゆっくりと目を伏せる。 もう、つかれた。 いっそ殺せ。 音にならない臨也の叫びは暗い闇に混ざり、溶けた。 |