風のタクト
第10話 神の塔


ノティがジャブーから自分の秘密を思い出させて貰い、リンクの家へ帰り着いた頃には日が傾き掛けていた。
その日はしっかり休み翌日に出発しようと思ったが、次の日リンクが今は一人の祖母の代わりに力仕事などを行い始めた。
ノティはノティでそれを手伝ったり故郷の人々に挨拶し話に花を咲かせていた結果、翌日も一日が潰れてしまう。

しかし赤獅子はそれに対して説教したりチクリと刺したり……なんて事はしない。
まだ子供の身の二人に国の命運を預けているも同然な現状、休める時にゆっくり休ませてあげたかった。
今まで戦い続き、そしてそれはガノンドロフを倒すまでは続くだろうから。

二人が出航しようと赤獅子の所へ戻ったのは更に翌日だ。


「よいかリンク、ノティ。お前達の持つ海図に神珠を納めるべき場所を記しておいた。その場所に全ての神珠を納めた時、お前達の本当の勇気が試される場所が明らかになるだろう……」


ジャブーの一件でも分かるように、ガノンはリンク達の行く手に先手を打ち始めた。
これから先は以前にも増して危険な事になるかもしれない。

リンクは不安だった。
自分の事ではない、他ならぬノティの事。
ガノンドロフに狙われているとは言っても、このまま一緒に旅をするのとプロロに隠れているのは、どちらが安全なのだろうかと。
このまま危険な目に遭うぐらいなら置いて行った方がいいかもしれない。


「あのさノティ。危ないかもしれないし、島に残っててもいいんだよ」
「何よ今さら、置いて行こうったってそうはいかないわ。あたし、リンクと一緒に居なきゃいけないんだからね」
「……うーん……」


決してそういう訳ではなく、ただ純粋にノティが心配なだけだが……。
ノティの秘密を知らないリンクにとって、彼女が危険を冒してまで自分に付いて来る理由など無いと思っていた。
アリルの事は抜きで……とは言え、ノティならアリルのために危険を冒すぐらいしてくれそうだが。
少し言い合いが始まりそうな雰囲気に、事情を知る赤獅子が助け舟を出す。


「まあ良いではないか、ジークロックが再び島を襲うやもしれぬし、お前が傍に居ればノティを守る事も出来よう。それが男と言うものだが……リンクには少し早かったか」
「そ、そんな事ないよっ! ボクだってノティを守ってみせるさ!」


良い感じに茶化され、言いくるめられたリンクは早く出航しようと赤獅子に乗り込む。
それを微笑ましく見ていたノティも同様にし、さっそく神珠を納める場所を目指し出航した。
まず最初の目的地は南の三角島という、プロロから北東にある島。

海図と羅針盤で確認しタクトで風向きを合わせる。
いつもの事ながら、常に追い風の航海は快適そのものだった。
しかし羅針盤で調整しつつ真っ直ぐ北東へ向かっていた途中、さめ島と呼ばれる島の海域で巨大な竜巻に出会ってしまう。


「な、なにあれ! あんな竜巻見た事ない……!」
「いかん、引き込まれるぞ!」


ダイオクタの時の恐怖が蘇るが、またあの時と同様 渦潮に引き込まれ逃げられなくなってしまう。
強風の中竜巻を見上げれば、どこかで見たような顔……巨大なカエルが。
あれ、誰だっけ……と首を傾げたノティだが、そう考えているうちに向こうから名乗ってくれた。


「神を恐れぬ愚かな人間どもよ! 風の神ライチン様の怒りの竜巻に乗って、海の果てに飛んで行け!」
「ライチン……ってまさか」


ノティの呟きにリンクも顔を見合わせ、どうやら二人とも同じ事を考えているらしい。
だがそれを告げる前に、赤獅子ごと竜巻に飲み込まれてしまった。


「うわあああ!?」
「またコレえぇぇ!?」


まるで木の葉のように軽々と宙に浮き、そのまま遠くへ飛ばされる。
ああ死ぬ時ってこんな感じするのかなあと、二回目である事も忘れ、ただしがみ付く事しか出来ないリンクとノティだった……。


++++++


「っぶわ!!」


楽しくもない空中散歩を終え、水飛沫を上げて着水したのは奇妙な建物のある島の傍。
確か南の妖精島とか言う……さめ島のひとつ東、目的地のひとつ南に位置する海域で、さして飛ばされてはいないようだ。
赤獅子は二人を気遣い声を掛ける。


「二人とも大丈夫か? あのライチンという神は、よほど人間に恨みを持っているようだ」
「うん、ボク達あの神様のお兄さんに会ったよ。フーチン様って言ってボクに風の唄を教えてくれた」
「石碑を壊されて怒ってるみたい」
「なんと……? そうか、確か竜の島の……。これからは海の上で竜巻を見かけたら、巻き込まれないよう用心せねばならんな」


だがあの竜巻の力を我が物に出来れば、海上を瞬時に移動できるようになるかもしれない。
些か乱暴だが、ブーメランや爆弾の大砲よりも遠くへ届く飛び道具があれば、或いは。
例えば弓など……。


「……弓じゃさすがに矢が風で逸れちゃうよね」
「弓かぁ。ノティ大得意だったよね、島のみんなも感心してたもん」
「そりゃあ弓なら昔から使ってるからね」


言って、今 自分が口にした『昔』が何を指すのか理解し、慌ててしまう。
だがリンクは『昔』を彼女の幼い頃と取ったようで、特に気にしていなかった。

気を取り直して風向きを北に合わせ、南の三角島を目指して出航する。
途中、海面に浮遊するように生息し船に体当たりをかまして来るシーハットという魔物だらけの海域に入ってしまったので最高速で駆け抜け、辿り着いた三角島は実に小さな島。
草花に溢れた可愛らしい島の段差の上には妙な像が建っていて、近づくと目が光り喋り出す。


「神への道しるべを求め、さまよい歩く者よ」
「わわっ、なになに!?」
「汝の持つ神珠をここへ」


像の両手は差し出されるように合わされている。像の額ネールの神珠と同じ模様を見つけたリンクがそれを置くと辺りが一瞬だけ暗くなり、神珠が煌々と輝き出す。
これでいいと直感で分かった二人は、またもシーハットの間を全力で駆け抜け、風向きの示すまま北の三角島へ向かった。
北の三角島ではディンの神珠を納め、更に南東にある東の三角島でフロルの神珠を納める頃にはすっかり夕方だ。
最後の三つ目、フロルの神珠を土人形に納める二人。
すると突然、他の土人形とは違う事態が起こる。
急に眩く輝き始め、危険を感じた二人は逃げた……が、何も起こらない。


「なんなんだよー……」
「リンク気を付けて……!」


リンクが様子を見に再び土人形に近づいた……次の瞬間、土人形が急に爆発。
その衝撃でリンクは思い切り飛ばされた。


「うわああああっ!!」
「リンクっ!!」


赤獅子に乗り、慌ててリンクを追うノティ。
その背後では、本来の……女神の姿を取り戻した土人形が、手にした神珠を掲げ光を放っていた。
それは一直線にディンの神珠、ネールの神珠と繋がり巨大な三角形を作る。
そしてその中央から現れたのは、複雑に、しかし隙間無く緻密に積み上げられた石で形成された巨大な塔。
塔の外壁にぶつかったらしいリンクを救助し、見上げる塔はなかなか高い。


「この塔は、人の持つ勇気を試すために太古の神が用意した試練の場だ」
「……いつか魔王が復活した時に、対抗できる力を持つ者を導くため?」


ノティの言葉に赤獅子は重々しく頷いた。
試練を乗り越えた者だけが神に勇者と認められ、巨悪を滅ぼす力を持つ事が許される。
取り敢えず、もう日が暮れるので今日の所はまたタウラのノティの家で休む事になった。


++++++


翌朝、日が高く昇り始める頃に神の塔へ辿り着いた二人は内部へ。
水浸しなので赤獅子に乗って入ると、中は水の満ち引きが激しい空間だった。


「向こうに扉が見えるし行ってみようか」
「左側の壁もヒビが入ってるし、バクダンで壊せるんじゃないかしら」


二人で考えを出し合えばどんな謎も解けそうだ。
そんな彼らを見た赤獅子は、ノティをリンクと共に行かせてもいいかもしれないと思う。
ノティが戦えない分はリンクが補い、リンクが謎解き出来ない分はノティが補ってくれるだろうと。

ひとまず入れそうな扉を探し出して突入し、そこで手に入れたダンジョンマップを見ると、どうやら部屋正面の水を吐き出している壁の奥に先へ続く通路がある様子。
マップを見ながら様々な場所を探索するリンクとノティは見るからに良いパートナーのようだ。
リンクが敵をあっと言う間に倒してくれた、ノティが謎解きや敵の弱点に気付いてくれたと、戻って来るたび嬉しそうに赤獅子へ話す二人。
やがて壁からの水流を止めて奥へ進めるようになった時、赤獅子はノティを連れて行きたそうにするリンクへ告げた。


「リンク」
「ん? なに赤獅子」
「……ノティをしっかり守ってやれ。ノティもリンクを助けるのだぞ」


てっきりノティを連れて行くのを止められると思っていただけに、二人は顔を見合わせ喜んだ。
赤獅子はそんな二人に何故か古の時の勇者を垣間見る。
いやいや、時の勇者は一人だった筈。二人も居るなど聞いた事がない……と思っていたが、そこでふと伝説を思い出した。
勇者は間違いなく一人だったが、彼には、彼を助け導く存在が居た筈。


「ノティ……お前は、ひょっとすると……」


++++++


リンクとノティは力を合わせて神の塔を行く。
新たなタクトの唄を覚え、謎を解き、敵を倒し、しっかり役割分担をすれば順調な道のりだ。
ノティが貰ったカギ爪ロープやデクの葉もようやく本格的に役立ってくれた。
これなら楽勝かもねなんて笑いながら とある扉を潜った瞬間、急に扉に檻が被さり出られなくなってしまう。


「な、何これ……!?」
「ああ、これは……竜の島や森の島でもあった仕掛けだよ。きっとあいつを倒さないと部屋から出られないんだ」


あいつ……? とリンクの目線を追うと、そこには巨大な剣を持った強固な鎧の怪物が立っていた。
ノティとリンクに気付くなり雄叫びを上げて襲い掛かって来る奴に、リンクは小さな剣を握り締め立ち向かう。


「ノティはあいつに攻撃されないよう離れて逃げ回ってて!」
「う、うん! リンク、気を付けてね……!」


ちょこまかと逃げ回りながらモンスターに攻撃を加えるリンクだが、鎧に弾かれダメージにならない。
ノティはあのモンスターを見つつ、以前と同じように頭が回る気がした。
モンスターを見ていると幾らかの情報が分かる……前世までの記憶を取り戻した今なら理解できる、これはかつて自分が授かった能力だ。


「(……奴はタートナック。だめだ、リンクの力じゃあの鎧は崩せない)」


ノティは位置を移動しつつ、タートナックに弱点が無いか観察する。
やがて発見した、背中で鎧を留めている紐。
あれならリンクの剣でも切れるに違いない!


「リンク、奴の背中に鎧を留めてる紐があるわ! それを切れば鎧が取れるかも!」
「背中だね、分かった!」


リンクはノティの助言に従い、タートナックの背後に回り込もうとする……が、阻まれなかなか上手くいかない。
しかも奴の剣を避けた拍子にその剣が周りの柱に当たり、砕けた柱の残骸がリンクを襲った。
大きな欠片がリンクにぶつかり軽く飛ばされる。
タートナックはその隙を逃さず、起き上がろうと体を震わせるリンクに向かって行った。


「リンク、危ない!」


ノティはこちらまで飛んで来た柱の残骸を咄嗟に掴み、思い切りタートナックへ投げつける。
タートナックはじろりとノティを睨んでターゲットを変更した。


「(……うわ、ヤバいかも……)」


冷や汗が流れ、壁を背に追い詰められるノティはただ奴が大剣を振り上げるのを青い顔で見上げるしか出来ない。
だが今にも剣が振り降ろされようとした瞬間、急にタートナックの鎧が外れ、高い音を響かせて床に落ちてしまう。
何事かと辺りを見回すタートナックを更に強い衝撃が襲った。

……リンクが背後からタートナックを突き刺していた。
奴はそのまま倒れ、派手な煙を上げて消える。
今さら恐怖を感じてへたり込むノティへ駆け寄ったリンクは、手を貸して立たせてあげた。


「ノティ、大丈夫!?」
「あ、はは……。死ぬかと思った……」
「まったく無茶して……。でもお陰で助かったよ、ありがとうね」


リンクの笑顔を見ていると体の震えも止まって落ち着く気がする。
“昔”からこうして自身が勇気に満ち溢れているだけでなく、傍に居る誰かに勇気と希望を与えらえる人物だったなと、懐かしい記憶が過った。
やったねとハイタッチした後にようやく、室内に出現した宝箱に気付いた二人。
開けてみれば、中は手頃なサイズの弓矢。


「うわ、弓だ! ねえリンク、これあたしに持たせてよ。これなら少しは戦えるからさ!」
「うん、いいけど……あんまり無茶はしないでよ」
「オッケーオッケー、あたしも死ぬの恐いもん、そんな頻繁に無茶しないよ」


これなら少しは戦えると、得意分野がようやく回って来た事にノティはやや興奮気味だった。
手に持ってみると普通の弓とはどこか違う……魔力のような物を感じる。


「(神様の造った塔にあるくらいなんだし、これならきっとリンクの役に立てる……!)」


弓を手に入れる事が出来たノティは、戦いの面でもリンクに貢献し始めた。
行く手を阻むように漂っている事の多いバブルや遠方の宙に浮き魔法を放って来るウィズローブを遠距離から倒し、動き出して襲って来る石像アモスはノティが弓で動きを封じ、リンクが背後に回って倒すというような戦略を取る。

順調にボス部屋の鍵も手に入れた二人は、ついに最上階へ辿り着いた。
緊張の面持ちで鍵を開け内へ入ると、中は天井の高い大きなホールのようになっている空間。
何も無いね、とリンクが言いかけた瞬間、どこからともなく声が響く。


「よくぞここまで辿り着いた、選ばれし者よ。神の最後の試練を受けよ!」
「リンク、壁!」


示された先を見ると、前方の壁から湧き出て来た巨大な両手と顔。
それが襲い掛かって来たものだから、二人は驚いて逃げ回る。


「これってどう倒せばいいんだよ……!? 試練ってくらいだから、絶対に倒せないって事は無いハズだけど……!」
「……“絶対に倒せない事は無い”……。挑戦者がどんな装備で来るか分からないんだし、塔の中で入手できる物を活用しろって事かしら。弓矢の出番かも……」


巨大な両手はリンク達を押し出そうとし、巨大な顔からは炎の玉が吹かれ危険な状態。
何も思いつかないリンクは、過去にノティのアドバイスに何度も助けられた事を思い出し彼女に託してみようと思った。
いきなりノティから離れて駆け出すと、剣を手に囮として動き回る。


「リンクっ!」
「ノティ、ボクが囮になるから! その間に弱点が無いか観察してみて!」
「う……うん、頑張る……!」


弓矢を手に、敵……というか神……というか、相手をよく観察してみる。
名はゴードン。体は固そうだが、どこかに攻撃が通じる場所は無いか。

ふと、襲い掛かる両手の平に大きな目玉が付いている事に気付くノティ。
そう言えば神の塔には目玉の形をしたスイッチの仕掛けが幾つかあり、弓矢で射って起動していた。
スイッチとは分かっていても、目玉を射るなんて痛そうだなあ、なんて思って……。


「……痛そう?」


そりゃ目玉を射られたら痛いに決まっている。
神様相手にそんな事をしていいのかと悩んだものの、これも試練よ! と自分に言い聞かせ、鏃をゴードンへ向けた。


「ごめんなさああい!!」


思いっ切り叫んで、ゴードンの両手にある目玉へ矢を射ったノティ。
矢は見事命中し、その手は機能を失った。
やっぱりこれで良かったのだと、もう片手にも矢を射り機能を奪う。
残った顔がノティを狙い始めるが、そこはリンクが囮になりターゲットを自分に移した。

ここまで来れば顔も両目を射ればいいだろうと狙いを定めるノティ。
再び矢がゴードンの両目に命中し、顔が落ちた。


「ここからはボクに任せて!」


リンクは剣を振り上げゴードンに斬り掛かる……が、堅い体は剣を弾くだけで傷一つ付かない。


「あ、あれ? ダメか……」
「リンク大丈夫!?」
「うん、ノティは下がってて!」


ここまでノティが頑張ってくれたのだから、次は自分だと彼女を制する。
剣が効かないならどうにか出来ないか……早くしなければ復活しかねない。

考えていて、ふと、大口を開けて動かないゴードンと何かが重なる。
神の塔にはデグアモスという石像のようなモンスターが居て、奴は止まった隙に口に爆弾を入れれば中から破壊する事が出来た。
分からないのだから思い付いた方法は試すべき。
リンクは爆弾を手にし、ゴードンの口めがけて思いっ切り放り投げた。


「これでも……食ってろっ!!」


爆弾は見事に口の中へ落ち、内側から爆発して確実なダメージを与えた。
ゴードンは負けを認め、二人を導く。


「今、道は開かれた。選ばれし者達よ、これより先はお前達が選んだ運命。心して行くがいい」
「やったよリンク、二人で突破したね!」
「うん、赤獅子もきっと喜んでくれる!」


力を合わせた事で随分と自信が付いた二人。
中心に現れた光の柱へ足を踏み入れると体が浮き、導かれた先は塔の最上部、屋上となっている場所だった。
それなりの広さはあるが中央の高い台座と、その上に設置された鐘以外は何もない。
朝方に入った塔だがとっくに昼は過ぎたようで、少しずつ日が傾き掛けている。
まだ空の色に変わる様子は無いが、そう遠くないうちに蒼が薄くなる時間の筈だ。


「もうこんな時間か。今回は手強かったなぁ」
「竜の島と森の島はもっと早く帰って来てたもんねリンク。あたしの協力のせい……なんかじゃないよ、ね?」
「なに言ってるんだよ。むしろノティが居なかったら まだ時間かかってたって」


リンクの励ましにノティも安心する。
折角 戦えるようになって出端から足手纏いでは心苦しい。

これで終わる訳にもいかないので、梯子を登った台座の上にある鐘を調べてみる事に。
ノティの、鳴らしてみる? という提案に同意し、巨大な鐘を鳴らす為に鐘の下にある取っ手にカギ爪ロープを使う。
リンクが思い切り体を揺らすと引っ掛けたカギ爪ロープの揺れで鐘が鳴り始める。
それは低く雄大で、荘厳ささえ感じる音色だった。


「ど、どうなったの?」
「赤獅子の所に戻ってみようよ、何かあるかも」


二人は急いで神の塔を駆け下り赤獅子の元へ。
赤獅子は二人を乗せて塔を出、入口の前にある柱に囲まれた湾へ出た。
そこには来た時に無かった筈の光の輪が。


「よくやった、二人とも。どうやら神はお前達を勇者であると認めてくれたようだ。だが、お前達の試練は此処で終わった訳ではない……。目の前にある光の輪の先にある世界、そこに一歩足を踏み入れた時、そこからがお前達の本当の試練の始まりなのだ。覚悟はいいな、リンク、ノティ」
「うん。絶対にアリルを助け出すまで諦めない!」
「あたしも頑張るよ!」


赤獅子は頷き、光の輪の中へと入って行く。

ノティはそこで、とても懐かしいものを目にする事になるのだった。





−続く−



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