時のオカリナ

ゼルダの伝説 時のオカリナ

第4話 繋がりゆく心


ゼルダに会い、ガノンドロフの手からハイラルを守る決意をしたカヤノ達。
兵士に見つかると面倒なのでインパの手引きにより城下町へ戻った。
その日はもう日が暮れていた為、城下町に宿を取って休む事に。
同じ部屋の中 休む準備をしていたカヤノに、ベッドの縁に座ったリンクが質問する。


「なあカヤノ。どうしてゼルダと知り合いだったこと黙ってたんだ?」
「知り合いだった訳ではなくて……私もよく分からないの。どうしてだかずっと彼女に会いたかった気がして」
「ゼルダもそう言ってたっけ、不思議だな……。じゃああと一つ。カヤノってひょっとして森の外から来た?」
「え?」
「なんか外に慣れてるように見える」


別にこの世界に慣れている訳ではないが、確かに森で閉鎖的な生活をしていたリンクよりは世間に詳しいだろう。
言ってもいいものか迷った。
そもそも別世界の事を話しても理解して貰えるか怪しい。
だが説明するのにそんな事を言う必要は無いと思い至ったカヤノは、異世界については話さず事実を話す事に決める。


「リンクの想像通り森の外から来たわ。私、コキリ族じゃないの」
「そっか。何となくそんな気はしてた。別に構いやしないけど」
「罪を償う為にこうしているんだけどね……」
「え? カヤノ、何か悪い事したのか?」
「家族を殺した」


驚いたリンクの息が詰まるのをカヤノは確認した。
軽蔑されて一緒に居るのを拒否されるかもしれないが、彼と行動するうち何となく親しみのようなものを感じ始めていたカヤノは、黙っておくのが憚られてつい言ってしまった。
リンクからは予想した罵倒や糾弾は無く、話の続きを促して来る。


「なんでそんな事したんだ? 何か理由があったんだろ?」
「どうしてそう思うの」
「カヤノは理由も無くそんな事をするヤツじゃないと思うから」


確かに理由はある。
“殺す”理由であって“殺しても許される”理由ではないが。
事実、許されなかったから今こうしてこの世界に居る。

罵倒や糾弾が無かった事が無意識に嬉しかったのだろうか、カヤノは異世界から来た事は黙ったまま、一部始終を話してしまう。
幼い頃から抑圧されていた事、それが我慢できなくなった事。
話が終わって真っ先に反応したのはナビィだ。


「ひっどーい、自分の子供をそんなに押さえつけるなんて!」
「……だけど。私は家族を殺してしまった」
「うん、確かに、殺すのは……良くないと思う。けどカヤノをそうさせたのはカヤノの家族でしょ!? 酷い抑圧なんかしなければカヤノだってそんなコトしなかったハズよ! それって家族のせいで罪を背負うハメになったようなものでしょ……」


まるで自分の事のように怒ってくれるナビィ。
そんな彼女を見ていたカヤノに湧き上がったのは、気まずさ。
家族を殺した時は恨みが湧き上がっていて後悔などしなかったけれど、自分以外の誰かがこうして自分の家族に怒っているのを見ると、何となく批判の言葉を否定したくなってしまった。

これは……後悔なのだろうか。
まだはっきりとは分からないが、この気持ちが育てばいずれ後悔になる気がする。
あんな事をしてしまった以上 後悔などしてはいけない……。
いや、後悔し反省する事こそ必要なのだろうか。
きっとそうだろう。でなければ罰の意味も減ってしまう。


「神様は、私に反省や後悔をさせたいんでしょうね」
「カヤノはやっちゃいけないコトをやっちゃったかもしれないけど。それでもワタシはカヤノの味方だからね。罪を償わなくちゃいけないならワタシも手伝うわ!」
「ナビィ……」
「そっか、カヤノももう、家族とは一緒に居られないんだ」


リンクの寂しそうな声が聞こえた。
殺害にまで至ったカヤノとは比べられないが、リンクも親であるデクの樹と死に別れ、コキリ族の仲間とも別れている。
こうなった以上コキリの森に帰れるという保証も無い。


「オレと一緒だね」
「……違う。リンクの寂しさは、私の比なんかじゃない」
「寂しさ?」
「違うの?」


勇気があるとは言ってもまだ11歳。
こんな事になって寂しさを覚えない訳はないだろう。
リンクはカヤノに指摘されてから少し考え込んでいたが、やがて声を震わせ始めてしまった。


「……デクの樹サマ」
「リンク……」
「オレ、もう帰れないのかな。コキリの森に。ゼルダを手伝ってハイラルを守るのはいいけど……やっぱり……。……ちょっと、寂しい……な……」


羨ましい。
カヤノが今のリンクを見て抱いた感想。
親であるデクの樹が死んで悲しむような、そんな関係を築けている彼が羨ましい。
そして自分には無いその気持ちを大事にして欲しいと思った。
カヤノはリンクに近寄ると、ベッドの縁に座ったままの彼を抱き締める。


「わ、っ、カヤノ!?」
「泣きたいなら……泣いても良いのよリンク。私はあなたが羨ましい。親を想って悲しめるあなたが、とても」


カヤノの腕に包まれたリンクの瞳に涙が溢れる。
抱き締めたままリンクの頭を撫でるカヤノだったが、暫く黙ってじっとしていたリンクが やがてカヤノを押して離し、目元の涙を乱暴に拭って笑顔を浮かべた。


「ありがとカヤノ、元気出た!」
「泣かなくてもいいの?」
「いい。オレはハイラルを救うって決めたから、泣いてなんかいられないよ」


そんなリンクに、男の子ねぇとしみじみ言うナビィ。
そうか、一応 異性の前で強がりたいんだ……と納得したカヤノは、ついつい微笑ましくなってクスリと笑ってしまった。

そんなカヤノの笑顔を見たリンクが呆然とする。
いつか自分の事でカヤノを笑顔にしてあげたいと思っていたが、意外とすぐに叶い呆気に取られた。
そして彼女の整った顔立ちに浮かぶ笑顔は華やかで。
今まで知らなかった胸の高鳴りを覚えて恥ずかしさが沸き上がったリンクは、少々 頬を赤く染めてそっぽを向いてしまった。

……その瞬間、カヤノは見た。
ランプの明かりで影が出来た部屋の中、リンクの影がゆらりと、彼の動きとは無関係に動いたのを。
明らかにランプの炎の揺らめきとは違う、まるで意思を持ったような動きだった。


「……!?」
「カヤノ?」


驚いて瞬時に一歩後退ったカヤノへ、ナビィが不思議そうに声を掛ける。
リンクも何事かとこちらを見て来るが、影は主の動きに合わさっており、それからいくら眺めても彼の動きと無関係に動く事は無い。
まさか影が動く筈なんて無い、気のせいだと自己完結したカヤノは、何でもないと一言だけ言って終わらせた。



翌日、宿を出て町の市場で準備を整える二人。
インパから地図やコンパス等の旅に必要な物と、共に幾らかの資金を受け取っていたので、それで水や保存食、薬など必要な物を買い揃える。
ちなみにゼルダ直筆のサインと王家の印が入った手紙も、兵士対策として受け取っていたり。

多くの人が行き交いざわざわと賑わしい城下町は、森の中とは大違い。
未だに慣れないリンクは物珍しそうに辺りを見回す。
そんな彼を見ながら、ふとカヤノは日本での自分の生活を思い出した。

親が選んだ付き添い無しで遊びに行きたい、買い物等をしてみたい。
そう思っていたが、ひょっとしなくても今それが叶っているのではないか。
重大な任務の途中なのであまり遊び気分ではいけないだろうが、準備ついでなら楽しんでも許されるのでは、と思い始める。


「(デクの樹サマが言っていた事はこれなのかな)」


いつかこの世界を愛せるように楽しんで生きろと言われた。
成り行きのようなものとはいえ国を守る使命を帯びたのだから、どうせならこのハイラルを大切だと思えるものにした方が良いだろう。

……正直 今はまだ、ハイラル王国が大事だなんて到底思えない。
今カヤノが神の与える運命の流れに大人しく乗っているのは、ゼルダの存在が大きかった。
初対面の上に今まで知りもしなかったけれど、どうしようもなく会いたかった。
そんな不思議な出会いを果たしたゼルダの住む場所を守りたい。
国の為でも世界の為でもなく、ゼルダの為に。
ゼルダがハイラルを守りたいと思っているならそれを手伝おう。
そんな気持ちがカヤノの中にはある。


「カヤノ、荷物持とうか」
「えっ……あ、ありがとう」


買った物を入れているとリンクが申し出てくれた。
縦方向の円柱状で口を紐で縛るダッフルバッグのような荷物入れ。
そんなに大きくないし背負えるので重さはあまり感じなかったが、思わず礼を言い手渡してしまった。
半ば呆然としていたカヤノだが、ナビィが楽しそうに。


「リンクったら、カヤノにイイトコ見せたいのね」
「いや、そういう訳じゃないけど……女の子が荷物持ってるのに、オレが手ぶらって なんか格好悪いじゃん」


照れたように言うリンクは、ふい、と顔を逸らしてしまう。
もう準備終わったんだよな? と背を向けたまま訊ねられたカヤノが肯定したら、そのまま城下町出入り口の跳ね橋の方へ歩き出した。
慌てて後を追いながら、カヤノはナビィに一言。


「ナビィ、リンクをあまり からかわないであげて。恥ずかしいみたいだから」
「ゴメンナサイ。でもリンクったらカヤノのコト意識しすぎなんだもん」
「意識って……彼は優しいから、女である私に親切にしてるだけでしょう?」
「うふふ、そうかな〜。まあリンクは“まだ”そう思ってるかもしれないね!」


……なんとも楽しそうである。
他人の恋路にそんなに興味があるのかと少々呆れそうになるカヤノだが、やはり“ちゃんと友達”であれば興味を持つのは当たり前だろう。
それを口に出して からかうのは別問題として。
今までそんなに親しくなる友人が居なかったので、新鮮な気持ちになるばかりだ。

城下町を出て、向かうは東。
ゴロン族の住まうデスマウンテンが目的地だが、まずはデスマウンテンの麓にあるカカリコ村を目指すよう言われた。
カカリコ村はインパが生まれ育った村で、何かと協力してくれるだろうとの事。
ゼルダが書いてくれた手紙にはインパの事も記してある。
カカリコ村を目指して歩きながら、リンクがはあ、と息を吐いた。


「ほんっと森の外は凄いなあ。空ってこんなに広かったんだ」
「森は木が生い茂っていたものね。あれはあれで綺麗だったけど。こんなに風が吹き抜ける感覚とか、森には無かった」
「デクの樹サマが死んじゃったり、酷い事があったけど……。こんな事になってから これだけは良かったって思えるんだ」
「森の外に出られた事?」
「うん。いつかコキリの皆にも見せてやりたいな」


コキリ族は森から出たら死んでしまうとミドが言っていた気がするが、リンクが無事な所を見ると単なる迷信のようなものだったのだろう。
外にはモンスターも出るらしいし、彼らが危険な目に遭わないよう、デクの樹がそう言って繕っていたのかもしれない。

平原を渡り山を目指したカヤノ達。
山道の入り口である長い階段を見付けて登り、カカリコ村に辿り着いた。
城下町のような賑わしさは全く感じない穏やかな田舎村。
鳥の囀りに、村の奥にある大きな風車が回る低い音、家を建築している現場からは小気味良く木を打つ音が響く。
入り口らしき木造の門に近づくと、側に立つ兵士が声を掛けて来た。


「やあ少年少女。見かけない顔だが旅人かな」
「うん。ここカカリコ村で合ってる?」
「ああ。この村はゼルダ姫の乳母であるインパ殿が開放されたのだ。まだまだ住人は少ないが、やがてはハイラル城下町のように賑やかになる筈だ」
「デスマウンテンはどこから行けばいいですか?」
「デスマウンテン!?」


カヤノの質問に驚いた声を上げる兵士。
聞けばデスマウンテンは活火山で、子供が行くような場所ではないと止められた。
モンスターも出ると……しかしゴロン族はデスマウンテンに住んでいる。
炎の精霊石の為に、危険だろうが行かなければならない。
リンクはゼルダから受け取った手紙を差し出す。


「オレ達こうしてちゃんと許可を得てるんだ」
「これは……ゼルダ姫のお手紙か! 王家の印もちゃんと入っている。『この者達 リンクとカヤノはハイラルを救う為 我が使命を受けし者なり……』」


読み上げられる手紙に自慢げな顔で胸を張るリンク。
しかしその兵士は一拍の後。


「ハッハッハッハッハ! 姫様もまたおかしな遊びを思い付かれるものよ!」
「ちょ、遊びなんかじゃないって!!」
「まあよかろう、噴石が飛んで来る可能性があるから山頂の方には近付かず、モンスターにも気を付けて行けよ勇者クン達。村の北側の階段を登ればデスマウンテンへ行く道だ」


向こうの見張りにも通達しておくから、と笑いが引かない声で言われ、ムスッと不機嫌な表情になるリンク。
代わりにカヤノが兵士に礼を言い、立ち止まっているリンクを促しその場から離れた。


「リンク……機嫌直して」
「なんだよ、カヤノは悔しくないの!? あんなに笑われて……!」
「私は信じてる。この国を救うのはきっと あなただって」


躊躇い無く真っ直ぐに告げたカヤノに、リンクは目を見開いた。
短い付き合いの中で彼の勇気や優しさの一端を知ったカヤノ。
そんなものを心に持っている上、ゼルダが見た夢に出て来たのならば間違いない。
きっとリンクがハイラルを救うのだと疑う余地は無かった。
リンクは笑われた後でのフォローが効いたらしく、頬を薄く染め照れくさそうに小さく笑う。

……その時、彼らに小さな異変が起こる。
昼過ぎの太陽に照らされた彼らに伸びる影。
リンクがカヤノの言葉に照れた瞬間、彼の影が本体の動きに関係なくゆらりと動いた。
リンクもナビィも、そして昨晩 異変に気付いたカヤノも気付かない。
影は昨晩よりも少し長く勝手に動き、再び元に戻った。


さて、カカリコ村には中途半端な時間に着いてしまった。
太陽の位置はそろそろ夕刻と言っていい時間に差し掛かりつつあり、今から山に登っても日が暮れてしまいそう。
朝 早起きをしなかった上に、色々と準備しているうち城下町を出発するのが遅れてしまったようだ。
今日はもう村で休もうか……と思っていたカヤノは、少し前を歩いていたリンクに相談しようとしたが、瞬間 彼が転んでしまう。


「うわっ!」
「リンク!」


慌てて駆け寄ると、彼の足下には地面に埋まった大きめの石。
恐らく半分ほど埋まっているのだろう、彼はこれに躓いたようだ。
ナビィがリンクの顔の側で心配そうに声を掛ける。


「大丈夫? ケガしてない?」
「してないよ、大丈夫。でもあっぶないなあ……掘り起こしとこうか」


石を掴み力を込めて引っ張ると地面が少しずつ盛り上がり、やがて抜ける。
持っておく意味も無いのでリンクはそれを道の端に放り投げた。

瞬間、投げた石が何かに当たるような音と、悲鳴のような甲高い音が聞こえた。
一応 人の居ない方に投げたと思っていたリンク達がそちらを見ると。
そこには、一羽のニワトリ……。


「あ、えと、ゴメン……」


残念ながらニワトリに人の言葉は通じない。
なんだか異様な雰囲気を放っているようなニワトリは、気のせいかもしれないがリンク達に向かって凄みを利かせている。
次の瞬間、高らかに上げられた鳴き声。
するとどこからともなく、複数のニワトリが羽ばたき襲い掛かって来た。


「えええええ!?」


いくらニワトリといえど襲い掛かられたら恐ろしい。
しかもモンスターではないので迂闊に反撃も出来ず、つつかれそうになりながら慌てて村の中を逃げ回るリンク達。


「リ、リンク、あなた何か恨みを買うような事でもしたの……?」
「してないよ! 石はぶつけちゃったけどそれだけで!」
「じゃあ怒りの沸点が低いニワトリだったのね。しかもここらのボス」
「こんな時に冷静! ちょっと頼もしい!」


淡々と言うカヤノに叫び声を上げるリンクだが、その間もニワトリ達は羽ばたいて浮きながら追って来る。
ちらりと振り返ったカヤノが数えたところ数は7羽。
村で飼われているのだろうし傷付ける事は出来ない。


「カヤノ、二手に分かれよう! 石をぶつけたのはオレだし、きっとあいつらオレの方を追って来るハズ!」
「リンクはどうするの?」
「オレは逃げ回ってるからカヤノは飼い主を探して! 多分、何とかしてくれるだろうから!」


それが一番良い方法だろう。
先の道、井戸のある地点が左右に分かれているようなので、カヤノは右、リンクは左へ曲がる。

……が、何故かニワトリ達は全てカヤノを追い掛けて行く。


「うそ……! 来ないで!」
「カヤノっ!」


数拍 遅れて気付いたリンクが追い掛けるが、ニワトリは今にもカヤノに追い付きそう。
無我夢中で逃げていたカヤノは疲れで頭が上手く働かなくなり、思わず先方にあった柵を乗り越えて勢いのまま地面に滑り込んだ。
7羽のニワトリ達も全てがカヤノの方へ飛びかかり、このままでは大惨事……と、冷や汗をかいたカヤノだったが。


「あら〜、コッコ捕まえてくれたの? ありがとう!」
「……えっ」


突然のんびりした声が降って来る。
見れば柵の外、赤茶色のボブヘアーの女性が一人。
彼女はニコニコしながら柵の中のカヤノに話し掛けて来る。


「わたし、コッコに触ると鳥肌 立っちゃうの。どっかへパタパタ飛んで行っちゃった時はどうしようかと思ったわ」
「は、はあ……」


ニワトリ達は家に戻って安心したのか、先程までの興奮した様子はどこへやら、すっかり落ち着いて地面をつついている。
呆然としていたリンクが歩いて来てカヤノと顔を見合わせるが、女性は何も気にする事なくご機嫌だ。


「何かお礼しなきゃ。……そうだ、アナタ達この村の子じゃないでしょ? よかったら今晩うちでゴハン食べてかない?」
「……頂きます」


リンクの話を聞かずに決めてしまったが、この際構わないだろう。
デスマウンテンはまだ行った事の無い場所。
精霊石入手に時間が掛かって夜になっては厄介だし、今日は村で休む事にした方が良い。

日が暮れて招かれたのは村の中で一番大きな家で、そこは元々インパが住んでいた家らしい。
家が荒れないよう管理をしながら住んでいるというコッコのお姉さんはアンジュと名乗り、夕食を食べながら村の事を話してくれた。


「あなた達この村は初めてなのね? ここはシーカー族の村だったのを、インパ様がわたしたち貧しい者の為に開放して下さった村よ」
「シーカー族?」
「王家に影から仕える一族らしいんだけど、詳しい事は分からないわ。でもインパ様はそのシーカー族なんだって」
「へー……」


一族という事は、そこに生まれればハイラル王家に仕える定めが待っているのだろう。
ここでも運命か……と少々気分が沈んでしまうカヤノ。
シーカー族達は、王家に仕えるという道しかない事を受け入れていたのだろうか。
インパも運命に従ってハイラル王家に仕えているのだろうが、それをあっさり受け入れたのだろうか。
いつか機会があったら話を聞いてみたいと思うカヤノだった。





−続く−



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