ヒドイですよね (1/3)

実力テストも無事に終え、結果も出たその放課後。


「回復に向かってるって、良かったね!」
「けどせっかくテスト乗り越えたっつーのに、まだバスケできねえのか……くそ」


秀徳との試合によって痛めた足を安静にするよう言われた火神君の診療に付き添い、私は病院にやって来ていた。

IH本選まであと二週間。
今週はじっくり療養にあてなさい、とカントクからの指示に彼は苦々しく呟いた。


「部活は見学で、もちろんストバスも禁止だって」

「…まじか」

「悪化させたら元も子もないもん。こっそりやろうとしたってダメだよ!」

「……」


何で分かったんだよ、とジト目で見てくる火神君。
バスケがやりたくてたまらない気持ちは分からなくもないが、ここはしっかり我慢してもらわないとね。


「うーんと、じゃあこの後はどうしよっか?」

「あ?お前学校に戻るんじゃねーの?」

「このまま帰したら火神君はストバスに行きそうだからって、監視することになったの」

「どんだけ信用ねーんだよ…」


がっくりと項垂れる彼だけれど、どこかギクッとした様子もあって思い過ごしでないことを知る。
スポーツバッグを肩に掛ける彼の腕をひょいっと引き、私は目の前の信号を渡った。


「行くよー火神君」

「うおっ?!な、何だよ!」


びっくりしたのか覚束ない足取りで慌てていたが、やがて信号を渡り終える頃には諦めた様子でハアと息を吐いていた。
怪我人に対して荒かったかな、と私はパッと手を離した。


「急にごめんね」

「別に…。つーかどうしたんだよ」

「……実は行きたい場所があって」


は?と目を瞬く彼に、先にあるスポーツショップを指差せば。
バッグを支えてない手で頭をがしがしと掻き、「わかったよ」と笑ってくれた。


「ありがと!」

「おー。そん代わりに後でマジバな」

「ん、おっけー!」








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