あなたって人は (1/3)










ガラッ


「──失礼します、」



期待と緊張とが混ざり合った感情のまま、開いた体育館の扉。

瞬間、目に入ったのはバスケ部の部員であろう男子たちの上半身裸の姿で。
何で皆脱いでるのかとか、場所を間違えてしまったのかとか、様々な疑問が浮かんだが只カアアッと恥ずかしさに顔を赤らめるしか出来なかった。



「っす、みませ、」

「あら?女の子?」



集まった注目に羞恥やら何やらで立ち去ろうかと謝罪を口にした時、体育館の奥から一人の女子生徒が近付いてきた。



「体育館に用事?」

「あの、私……バスケ部に入りたくて…」

「女バスなら今日は部活やってないわよ?」



また今度来たらいいんじゃない?、と肩を叩く彼女に慌てて「違います!」と声を張り上げた。

ああ、びっくりさせてしまったかな。





「男子バスケ部に、マネージャーとして入部したいんです…!」



きっぱりと言い切るとシーンと静まり返る体育館。
もしかして体験入部に行ってないとダメとか今はもう入部を受け付けないとか言われてしまうのだろうか。

そんな不安を一掃するかのように、肩に置かれた手がぎゅううと力強くなった。



「……っマネージャー、ついにゲットーー!!」

「!?えっ、わあっ」



目の前の彼女が急に高らかに叫び、そして腕を引っ張り体育館の中へと引き込む。
体育館履きに変えておいて良かったと場違いな安心をするのも一瞬で、腕を引かれて着いたのが上半身裸の男子たちの中心なことにまたカアッと顔に熱が上がった。

戸惑うのに構わず、手を引いた彼女は声色に明らかな喜びを乗せて自己紹介を促した。



「皆聞いて!今日からマネージャーが入部します!…じゃあ、自己紹介してちょうだい」



はい、と頷いて口を開く。



「1−A、苗字名前です。頂点を目指す皆さんのお手伝いをさせてください…っ!」



深く頭を下げる。

ふわりと、頭に温かいものが触れた。



「宜しくな、マネージャー」



眼鏡を掛けた彼が柔らかく笑ってくれるから。
仲間として入れてもらえたのが分かって、自然と顔が綻んだ。



「はい!宜しくお願いします!」

「っお、おう」



刹那、何故か顔を赤らめる眼鏡の少年。

何かいけないことをしてしまったのかと首を傾げるも、隣にいた少女がガバッと抱き付いてきた。



「んもー!名前ちゃんってば可愛いー!」

「…ええっ?」



彼女の方が確実に可愛らしいのだと思うのだが。

あんまりにも彼女が嬉しそうに楽しそうに抱き締めてくるから、嬉しくなって笑顔を滲ませた。










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