( 探し続ける倒れても )



私にはもったいないくらい綺麗な人。

心がとにかく綺麗で、私なんかとは真逆だ。
そんな宍戸くんが私に告白してきたのは一週間前で、キスしてきたのは3日前。

意外にも行動が早いと思ったが、それは愛ゆえの行動なんだと理解している。

そして、「苗字を抱きたい」と言われたのが今。

私も宍戸くんも初めて。つまり処女と童貞。
初めて同士がセックスをしたらいけないと、何かの雑誌で読んだ記憶がある。

…素直に喜べない私はやっぱり汚れている。
「うまく、できるだけ痛くないようにするから、な」

相手のことを考えれるなんてどこまで綺麗なんだ。

そんな些細なことでさえ、私は宍戸くんに魅了される。

ぎこちなく触る骨ばった男の手も、眉間にシワを寄せて瞳を潤わせるとこも、
全てが
「きれい、」

私の言葉に少し笑って、男に綺麗もくそもあるか、と言った。

「じゃぁ、入れるからな」

位置を確認して挿入。やっぱり痛かったけど、それ以上に心が痛かった。


「うわ、すまねえ、泣くほど痛かったか?」
宍戸くんのは抜かずに頭を撫でる。いきなり抜いたら痛いからだ。ほら、こんなところでも優しいんだ。


「わた、しはっひっ、ししどくんみたい、に、きれいじゃない」


「え?」


「しし、ど、くんっみたいに、心が、きれいじゃ、ないっ、」

ああ、駄目だ。泣き出したら止まらない。
泣いて宍戸くんを困らせて…汚い私。


「苗字よく聞け。お前が自分を汚いとでも思ってるのかわかんねえけど、お前はめっちゃ綺麗だ。人の心を綺麗だなんて言えるなんて、心が綺麗じゃないとできないんだぜ?」

"それに俺は綺麗じゃねえ。"
照れながら笑った。(ううん、貴方は凄く綺麗)

ゆっくりと動きだしその間も私にキスをしてくれる私の愛しい人。

(もしかしたら宍戸くんが浄化してくれるかもしれない!)

そんな期待を抱く私。

ゆっくりだった動きがだんだん激しくなってくる。さすがテニスプレイヤーだ。一定スピードを保ってる。


「名前、俺いきそうっ、」

「あたしも、亮っあ、」

私がいくと、コンドーム越しに熱が伝わってきた。"亮"が抜くとさっきまで私の中にあったそれはブラブラしていてちょっと面白い。
「なっ、見てんじゃねーよ!」

真っ赤になってコンドームをティッシュに包んで捨てる。
ゴロン、と私の横に横たわって私の下腹をさすってくれた。

やっぱり優しいんだよな。


「亮、」

「なんだよ」

「呼んだだけだよっ」


嗚呼、いつまでもこの時間が続いて欲しい。