( ピンク色のシャツ )



柳蓮二という人間は非常に美しい。

美しいからこそ嫌いだ。

きっと彼はその美貌、その性格、そのカリスマ性故に幸せな人生を歩むだろう。

私は、私には何もない。彼の真逆だ。

不細工、性悪、カリスマ性なんてない。
そう、私は柳蓮二に嫉妬していて、その事も本人は知っている。

何故か、そう聞かれれば「遅くなってすまない」

私と彼は付き合っているから。勿論告白してきたのは彼だ。

その時は断ったが、押しに弱い私は3度目の告白で付き合うことになった。

「怒ってはないか?」
「…別に」

そっけない態度をとっても、私と別れようなんて切り出さない。

切り出さないから私から別れを告げると彼は涙を流した。その涙に負けまいと、本心をぶちまけた。嫉妬しているが故に嫌いなこと。

彼はその日から更に優しくなった。

元からヘドが出そうな程甘かったのに、更に甘くなって、苛々した。

どうして私なんかに優しくするのか。内心、馬鹿にしているんだろうか。

(嗚呼、こいつは俺よりも可哀想で恵まれてない人間なんだ)これは只の被害妄想だと解っている。


ただ、柳蓮二は私の何処に惚れたんだろうか。


「今日は何処に行こうか?」
綺麗な顔が綺麗に微笑む。


彼の好きな色は白。私の好きな色は赤。
彼は私と会う時は必ず赤い物を身に付けている。今日は赤いシャツ。

私の好みを知り尽くしている彼。
そんな彼にまた、苛々した。



「ホテルがいい。セックスしたい」
(早くその赤いシャツを脱いでくれ、)

私の心の声が聞こえたかのように、柳蓮二は悲しく微笑んだ。

「解った。直ぐ行こう」

本当は、彼は、普通にデートがしたいのかもしれない。
でも私は彼が嫌いだ。なるべく一緒に居たくない。だから早くセックスして別れる。


「射れて」
ホテルに着いて早々、彼に私のマンコに射れるように促した。

「待て、それでは名前が傷つく。」

そう言った彼は私のマンコを舐める。

何度このやり取りをしたことか。私が傷つく事を嫌に嫌う柳蓮二。

私もまた、私の心配をする柳蓮二が嫌いだった。

「充分だな、もう射れるぞ」


ズシン、とわたしのマンコを満たしていく。柳蓮二としかセックスしたことないから、他の男なんて知らないが、彼のぺニスはでかいと思う。


ぐちゅぐちゅと掻き回し、子宮ではなくて、私の感じる所を執拗に刺激した。

部屋には卑猥な匂いと卑猥な音が充満している。

「名前、気持ちいいか、」
「いいよ」


余りにも刺激が強すぎて私は何度かいく。
それでも柳蓮二の精液が出ないと終わらない。

彼は思い切り腰を打ち付け始めた。
ラストスパート、といったところだろうか。


嫌いだらけな柳蓮二にも好きな所がある。
それは、

「ぁあ、名前、愛して、る」

こんな私の上で乱れながら私に愛の言葉を捧げてくれることだ。
「掻き出すからちょっと我慢してくれ」

細くて、顔と同じくらい美しい指で私のマンコの中の精液を取り除く。


柳蓮二はこれも計算しているんだろうか。
掻き出すことで私が感じることを。


「どうした?どんどん厭らしい汁が溢れてくるぞ?」

厭らしく笑った。

やっぱり柳蓮二は嫌いだ。




(恋心を認めると何処までも堕ちていきそう。
だから私はいつまでも柳蓮二を嫌いと云う)


そんな事も彼にはお見通しなのかも知れない。


(赤と白でピンク。まるで恋心を表す色だな)


さて、次のデートで彼はどんな服を着て来るのだろう。