頭身の毛もよだつ




またやっちゃった、と笑う彼女は恐ろしく綺麗だった。

そんな彼女の手を引いてベッドに座らせる。
あーやっぱり前切ったところも膿んでやがる。そろそろ左腕使い物にならなくなるんじゃねーか。


「痛いよ、もっと優しくして」

「痛みを感じろ、馬鹿が」


新しい傷を消毒して膿んでいるところを全て取る。

声にならない声で痛みに耐える名前。

厄介なのは錆びたカッターで切るところだ。膿むのも当たり前だろう。

それにしても今回はやけに深く切ったな。


「育ててたプチトマトをね、カラスに食べられちゃった」

「そうか、」

「…たべ、られちゃっ……た、」


ゆっくりと引き寄せて抱き締める。
背中を擦れば過呼吸かと思うくらい泣き出した。


顔が笑う。

トマトを捕られたのをカラスだと思っているのか。


名前はまた俺のところに来る。

左腕を切って。




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