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後ろの気配に膝が笑う。笑うなんてもんじゃない。爆笑してる。いつもなら振り返り、挨拶をするところだが今は動くことすらできない。あ、やべ。まじで動けねえ。動けないくせに膝が爆笑してる。なんてことだ。真っ白になっていた頭でフル回転で考える。何を、そう、この場所から抜け出す方法を。一つ浮かんだことは、俺の天才的なスピード(それでも後ろのやつのほうが速い)で逃げるか。もしも逃げ切れたとしても後からしばかれる。それならいっそ素直に謝ったほうがいいんじゃねーか。

「俺も素直に謝ったほうがいいと思うよ」

だよな。本人もそう言ってるし、ゑ?

「俺の大切なジャージにジュース溢すなんていい度胸してるよね。よし、こっちこい」


逃げるタイミングすらなかった。