くだらない。 "付き合う"という行為が幼稚くさくてくだらない。 お互いがお互いに好きだなんて反吐がでるような甘い言葉を言い合って、お互いの傷を舐め合うだけだろ。 そんなくだらない関係なんていらないんだ。 だから仁王と付き合い始めた名前に同情する。 あの男は人一倍心が繊細だ。 ああ、間違えた。心が弱いだけだった。 そんな男と反吐がでるような甘い言葉を言い合い、傷を舐め合うんだ。 床を舐めるよりも苦痛だろう。 「よくもそこまで人の恋人を貶せるよね」 「違うんだよ。お前は誰かと付き合うなんて低俗のようなことは似合わないんだよ」 「せーちゃんは昔からお節介なの!」 それは昔からお前が馬鹿みたいにくだらないことを繰り返すからだろ。 そう言ってやれば更に顔をしかめるだけだった。 俺はなにか間違ったことを言っているのだろうか。否、俺は全て正しい。 「取り敢えず仁王と別れろ」 はぁ?、と般若みたいな顔になった。 仁王とこれから先一緒にいるとしても、仁王から離れていくに違いない。 あいつは心が弱いから人を求める。女の温もりを求め続ける。 それに名前は耐えることはできずに俺に泣きつく。 幼馴染み、だから。 「全く酷い話だよね。俺は名前のことを愛してやまないのに」 「あたしは仁王くんが好きなの!」 「俺はずっと名前のことしか考えてないのに」 「せーちゃんより仁王くんのほうが好きなんだもん!!」 「お前はそうやって一時的な感情に流され過ぎるんだよ」 俺は名前となら恋人とかいう幼稚な関係になってもいいのに。 ( 夢では名前を抱けない ) |