おやつちょーだい


 全国のおねーさま、こんにちわ。みんなのアイドル、デリックです。かっこ笑い。
 今日は、俺の大好きな家族と日常の一部を紹介したいと思います。
 特に、ウチのママさんの可愛さはスゴいから!
 その可愛さをめいっぱいたんのうしていって!

「デリック、さっきからなに一人でブツブツいってるの?気持ち悪いよ」
 そう言ったのは、長男のろっぴだ。愛しのママさんそっくりの顔にこうも蔑んだ目で見られるとちょっと泣きそうになる。
 ママさんに怒られるのは平気なのになぁ。
 というか、ママさんは怒った顔も美人だからもっと見ていたいというか…
「ほっときなよろっぴ。でりがおかしいのはいつもの事だし」
 そう声をかけてきたのは、ろっぴから一人分開けてソファに腰掛けた次男のサイケだ。その隣では三男の津軽がソファに膝を立ててキッチンの方を見つめてる。いつもなら少しはフォローしてくれるのに(フォローになってないことが多いけど)
 やっぱり、こういうとこはオヤジに似てるよなぁ、なんて思ってると…
「ろっぴさん、でりっくさんは変態なんですか?」
 末っ子の月島くんが、無邪気な顔でとんでもない発言をかましてくれた。
「ちょっ、月島くん?!そんな言葉誰に聞いたの!」
「こらデリック、なに騒いでるの」
 俺変態さんじゃないからね!
 必死で否定したら、途端にママさんの声が飛んできた。その手には人数分の紅茶が乗ったお盆があり、後ろには本日のおやつのプリンを持ったオヤジと日々也をつき従えている。
 さっすがママさん。あのプライドの高い王子様にプリンを運ばせる事が出来るなんて。
「おい、愚民。さっさと取れ」
 …うん、さすがママさん。俺にはこんななのに。
 俺がスゴスゴとプリンをプリンを受け取れば、日々也はママさんに頭を撫でられてご満悦の表情だ。ちょっとうらやましい。
 まぁ、日々也が運んでたのは見返りがあるからだけど。
「ままさま、だっこ!」
「ハイハイ」
 今日のおやつの時間にママさんの膝の上で食べる権利を獲得したからだ。
「いーなぁ、ひびくん」
「そこは僕の席なのに…」
 羨ましそうに見るサイケと恨めしげに睨むろっぴににっこりと笑って、日々也はママさんにぎゅっとしがみついた。
 ううう…俺もママさんに抱きつきたい。けど、俺が抱きついたらオヤジから鉄拳が飛んでくるんだよなぁ。津軽や月島くんなら怒らないくせに。理不尽だちくしょう。
 ちなみに、その心の狭いオヤジはというと
「おら、手前はこっちだろうが」
 日々也を膝に乗せたママさんをひょいっと抱えて、自分の膝に載せてしまった。
 ま、いつもの事だけどな。
「ちょっとシズちゃん、またこれ?」
「いいだろ、狭いんだから」
「パパが無理やり座るからだろ」
「パパがどっか行けばよゆうだよ」
「お前らが避ければいいだろ」
 バチバチと火花を散らしてオヤジとサイケとろっぴが睨み合うのも、いつもの事だ。だから、こういう時は手を出さずにそっとしておくのが一番いい。現に津軽は無心にプリンを食べてるし。
 それに、ママさんがいれば大丈夫だろう。
「ほらほら、遊んでないでおやつ食べな」
「ままさま、あーん」
「サイケも!」
「僕が先だよ!」
 あーん、と一斉に口を開ける三人にママさんは苦笑してプリンをひとすくい。するとそのプリンはあら不思議
「「「あああぁぁっっ!!」」」



 オヤジの口の中に消えてしまいました。



 うん、やっぱり心狭いよなこのオヤジ。解ってたけど!
「こらっ!シズちゃん!」
「お前のもんは俺のもんだろ」
「ちがうよバカっ!」
「ママは僕のだよっ!」
「俺のだっつーの!」
 言い合うオヤジとろっぴたちに、ママさんは呆れたように溜息をついた。
 いつもの事とはいえ、大変だよな。ここはひとつ、俺がママさんをいたわってあげよう。
「ママさん、あーん」
 俺はいそいそと言い合うオヤジたちを避けてママさんにプリンをスプーンで掬って差し出せば、ママさんはにっこり笑ってパクリと食べてくれた。
「ありがとう、デリック」
 おおぉっ!ママさんの満面の笑み!これは貴重!しかもこのスプーンにママさんが口を付けたということは、か…か…間接…っ!
「「「デリック〜〜っ!!」」」
「はい、すみません」




「うん、茶がうまい」
「ままさまの淹れてくれた紅茶、おいしいです」
「ふふ、ありがと」
 皆に怒られているデリックの横で、津軽と日々也がちゃっかり臨也の横でおやつの時間を満悦していたのも、いつもの事である。



企画サイト『宝石箱』さまえの提出物。
もうちょっとデリックを変態さんにしたかったなぁ、とか。
大人気ないシズちゃんももうちょっと書きたかったかも、とか。
でも、家族なシズイザと派生組は楽しかったです。

111030

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