「人は嗅覚で過去の記憶を思い出したりするんですよ」
「プルースト効果の事かい?」
「あ、それです!……私は薔薇の香りや紅茶の香りでエドを思い出すのでプルースト効果かな、と」
「ならば僕はいつも君の周りに薔薇を絶やさないようにしなくてはね。ルイスには僕が居ない間は君に紅茶を振る舞うように伝えておこう」
「それじゃあ私、常にエドの事を考えちゃいますよ?」
「そうかい?それは好都合だ。……君には一生僕に捕らわれていてほしいからね」

 美しいものに触れたら君を重ねて、醜いものに触れたら君から遠ざけようと君を思う。
 愛しい君を軸に回転する喜怒哀楽。
 僕は世界中の全てに触れる度、君を思うのだから…、君もそうじゃないと不公平だよ。