短編 | ナノ
▼ (神威) 10月31日※

「お菓子くれなきゃ、ころしちゃうぞ☆」


私達が所属している第七師団の団長はニッコリと笑い両手のひらを上に向けてこちらに差し出す。


「…なんですか、それ」

「知らないの?ハロウィンだよハロウィン」

「ハロウィンは知ってますが、何で殺されなきゃいけないんですか」

「お菓子くれない人は殺してもいいってイベントでしょ?」

「ちがいますよ!!そんな物騒なイベントではないです!!!もともとは秋の収穫を祝って悪霊などを追い出す行事で…って聞いてます?」


人がハロウィンについて説明してるってのに団長は無視して私がお風呂上りに食べようと思っていた棒アイスの袋をあける。


「ちょっと…!それ私のです!!」

「これ欲しいの?」

「欲しいってか元々私のなんですが!」

「じゃあ返すよ」


そう言って棒アイスを口に突っ込まれる。


「もっと奥まで咥えて」

「ん、んー!!!」


そんな奥まで入れられると吐く!吐くよ!!
喉奥まで突っ込んだと思えばゆっくりと抜き差しをする。これって…なんだか…


「おいし?」

「ほいひふはいへふ」

「次は舐めてみて」


口から抜いて顔の前に持ってくる。これ、セクハラだよね!?けど、断ると何されるかわからない。仕方なく棒アイスを下から上に舌を這わせる。


「んっ…む…」

「そうそう、上手だね。名前」


たまに吸ったりとか音立てたりとか言われる通りにする。そうしてるうちになんだか変な気分になる。そんな私を団長は食い入るように見ていた。アイスは溶けてなくなり、木の棒だけになってしまった。


「ははっ、名前は淫乱だね」

「団長がやらせたんでしょ」

「お菓子くれないからだよ」

「じゃああげますよ、お菓子」


私は団長の唇を奪う。まだ冷たいであろう唾液を送り舌を絡ませる。唇を離したときに引いた糸が更にイヤらしさを感じさせた。


「あま…」


ぺろりと唇を舐める団長に更にムラっと来てしまう。もう一度キスをすると今度は団長から舌を絡ませてくる。脳がとろけそうになるようなキス。


「私、団長になら殺されてもいい…」

「お前はきっと強い子を産むから殺さないよ」

「じゃあ団長の子ども産ませてください」

「それは考えておくよ」


そうやってまた蕩けるようなキス。互いを食べ合うみたいに何度も何度も…それ以上は何もしてこなくて、続きはまたねとどこかへ消えていった。ほんと気まぐれなんだから。

餌をお預けされる犬の気持ちがわかった気がした…


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