▼ (銀時) RAINY DAY※
梅雨に入ってからは毎日どんよりとした空だ。
外へ出かける事も少なくなり、やっと梅雨明けだって天気予報で言っていたから、恋人とのデートの約束を取り付けたのに。
「雨だ…………」
結野アナめ、外したな。
せっかくのおめかしが湿度による汗と雨で台無しになってしまった。とりあえず約束通り万事屋に向かう。こんなギトギトの顔あまり見られたくないなと思いつつも、恋人に会いたい気持ちは変わらない。
玄関のチャイムを押すと大きな欠伸をしながら、恋人は出迎えてくれた。部屋に入るも他に誰かがいる気配はしなかった。
「今日、神楽ちゃんたちは?」
「あー、なんか新八の家に行くってよ」
「そうなんだ……」
「なに、なんか期待してる?」
いたずらっぽく笑う銀時。
期待してないって言うと嘘になる。
「…………」
「なんだ、図星か。」
名前は可愛いなあ、と頭を撫でられる。
この大きな手が私は好きで好きで堪らないのだ。
「な、名前……」
その大好きな手は私の頬を包む。
してもいい?とわざわざ聞いてくる。そんな恥ずかしいこと聞かないで。黙ってキスして。何も答えずにいると、顔が近づいてくる。
「今キスしたら、止まらないかもよ」
「えっ」
いい?と再確認される。
私は今汗と雨でギトギトのベタベタだ。このまま致すのは少し宜しくない。
「シャワー浴びたい……かも」
「なんで?」
「その、汗かいちゃって……」
そう言うと銀時は私の首元の匂いを嗅ぐ。
鼻息が擽ったくて、つい身体をくねらせた。
「どうせ今からもっと汗かくだろうが」
「それはそうなんだけど……」
「俺は気にしねェよ?」
「私が気にするの……ひゃっ」
首筋を舐められてビクンと身体が跳ねた。
擽ったくて、けど気持ち良くて、変な感覚。
「しょっぱ……」
べっと舌を出す。
汗かいてるんだから仕方ないでしょ。けれど、そんな事はお構い無しに、彼は首筋や鎖骨の皮膚に吸い付いた。
「……っ、そんなに吸ったら……痕ついちゃうよ」
「ついたら何か困んの?」
「ん……はず、かしい」
段々と着物がはだけて、肩まで露出する。
肩や腕にもキスを落とす。手を絡め取られて、指にまでも。言葉は無くなり、二人の息遣いだけが聞こえる。
抱きかかえられて寝室まで連れていかれる。
荒々しく布団に投げられ、羽織っていた着流しを脱ぎ捨てた。待って、と言うも彼の耳には届いていない。
「俺さ、名前の汗の匂い好きなんだよ」
「なにそれ……訳わかんない」
汗でぐちゃぐちゃになった前髪をかき分けて、生え際辺りにキスを落とされる。
脇や胸の谷間、太ももの付け根、膝の裏、汗が多く分泌しそうな箇所を集中的に舐めたり吸ったり。恥ずかしくてやめて欲しかったけど、気持ち良くって拒めなかった。
「あれ、ここも汗かいてんな」
下着の隙間から指を滑りこませ、既に十分に濡れていたソコは簡単に彼の指を受けいれた。
「……っ!!」
「ほんと、汗っかきだなあ」
「ちが……っ」
湿り気のある音が部屋に響いて、恥ずかしくなり腕で顔を覆うように隠した。
「こらこら。顔、見せてみ?」
「やだ、見ないで」
力では敵わず、いとも簡単に私の両手首を片手で押さえつけられてしまう。
中に入っているもう片方の手の指は、奥を掻き乱すように動き続けている。耐えきれずに身体を痙攣させると、彼は満足したような笑みを浮かべた。
「かわいいな、ほんと」
頭が真っ白になり何も考えられなくなってしまった。
銀時の唇が重なると、しょっぱい味がした。二人汗だくになりながらも何度も体を重ねた。
びしょびしょの、どろどろで、汗なのか愛液なのか分からないほどに。