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暑いし非番の奴らで涼みにでも行ってこい!と近藤さんの粋な計らいで俺達はプールに行くことになった。

隊士がどうせなら名前も!って連れてきやがって、下心丸見えだっつーの。
まあ、あいつも暑いのが苦手でバテてたし喜んでたから良いけども……


でもまさかこの俺が女の水着ひとつで三角座りから動けなくなるとは。万年発情期の近藤さんじゃねーんだぞ。


「土方さん?お腹痛いんですか?」

「ま、まあそんなところ?」

「名前、土方さんは朝勃ちが治まらねえらしいぜィ」

「大丈夫ですか?トイレ行って抜いてきます?」

「女がそんな事言ってんじゃねえ!!!」


こういう下ネタは言うくせに、自分の身体が俺らの股間にどういう影響を及ぼしているのか自覚がないらしい。
良い歳した大人が子どもみてえにはしゃぎやがって。

あまり身体を見ないようにして、一服していたら治まってきたのでプールサイドを歩いていると、ムカつく野郎が俺の前に現れた。


「あんれェ、ずっと三角座りしてた土方くんじゃないの」

「チッ、万事屋……お前も来てたのか。てかなんで知ってるんだよ!」

「監視の仕事してたらたまたま見えたんだよ」

「テメー、その双眼鏡であいつの水着姿見てたんじゃねーだろうなァ!?」

「み、水着姿なんて見てないしィ!?溺れてないか監視してただけだしィ!?」

「それ見てんじゃねーか!思いっきり見てんじゃねーか!」


くっそ、あいつを連れてきたのは間違いだった。
思い切り睨んでやると、万事屋の顔が一気に青ざめていく。あれ、そんなに怖い顔してた?


「お、おい、ボールがすごい勢いでこっちに」

「は?……へぶッ!!!」


どこからかビーチボールがすごい勢いで飛んできて後頭部にヒットし、思わず前に倒れ込んだ。
めちゃくちゃ痛い。ほんとに痛い。あまりの痛さに目がチカチカした。


「いってえ……」

「銀さーん、土方さーん!ビーチバレーしよー!!!」

「「…………」」



ビーチバレー誘うのに後頭部にサーブ打ってくる奴がいるかァァ!!!あれか!?この前のペットボトルぶつけた仕返しか!?



「あー……俺パス。一応仕事中だから」

「オイテメー逃げんなコラ!!!」

「いやほんとに仕事中だからァァ!やめろ引っ張るな脱げる!ポロリする!」



そんな事をしていると早くボールを拾ってこいと急かされる。仕方ねえ、やるか。

結局、名前・総悟チームと俺・万事屋チームに別れてビーチバレーをすることに。なんでよりによってお前総悟と組んでんだよ!



「よーし、いっくよー!」


ふわっとボールを宙に浮かせジャンプし、打つ。
ボールは回転せずにこちらに向かってくる。今度こそは打ち返してやる!と思ったが早すぎて無理ィィイイ!!!



「ぶはッ……!」



避けようとしたがボールのが早かったようだ。
俺は顔面で受け止め数m先まで吹っ飛ぶ。下手したら死人が出るぞコレ。



「「「イエーイ!!!」」」

「オイ、なんで万事屋も一緒になってハイタッチしてんだよ!!テメーこっちのチームだろうがッ!!!」



結局審判がいないから、点数とかルールとか無視して球の当て合いになっていた。

途中万事屋んとこのチャイナ娘と総悟がやり合ってボールを破裂させてお開きになり、すっかり外は温かみのある色に染まっていた。



「はー!遊んだ遊んだー!」

「テメーははしゃぎすぎだ……ものっそい疲れた」

「土方さんだってはしゃいでたでしょ!」

「テメーらの相手してやってただけだわ!」

「………………」



急に静かになったので目を向けると、遊び疲れたのか子どもみてぇな顔して気持ちよさそうに寝ていた。

いつのまにか自分の頬が緩んでいたのに気づいて、誤魔化すように咳払いをした。こいつと居ると顔も気も緩んでしまう。

車内が夕日に照らされ真っ赤になる。
夏は、まだ終わらない。


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