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今日はやっと仕事の決まった長谷川さんに頼まれて、プールの監視員をしている。
って言ってもぼーっと双眼鏡で女の胸や尻を覗き見してるだけだけどな。
「銀さん!デカプリ娘が居る!プリップリ!」
「どれどれ、うはホントだ!プリップリ!」
真っ白な肌に清楚な白のビキニ、プリップリの胸と尻、少しむちっとした太もも!
どうせなら顔も拝んでやろうと上に持っていくと、名前だった。
あ、やべ。
「あの子、名前ちゃんだよねェ!?……って何銀さん前屈みになってんのォ」
「なっ、なってねーよォ!?」
「おっ!あっちにもデカプリ娘が!」
もう他のデカプリ娘なんてどうでも良くなった。
俺は名前が溺れないか監視しておくわ。いや、別に下心があるとかそんなんじゃねーし?心配なだけだし?
双眼鏡越しで目が合いこちらへ向かってくる名前。
気づかれたァ!?
まだ収まっていない股間を隠すように素早く三角座りした。
「銀さん、こんなところで何してんのー?」
「よ、よっ!監視員してんだよ。オメーは?」
「暑いから涼みに来た!てかここのプールすごい空いてるねー!貸切みたーい!」
「あー、客は怯えて帰っちまったよ」
「えっ!?なにがあったの!!」
「まあ色々な、てか一人で来たのか?」
「いや、土方さんや総悟たちと来たけど、みんな三角座りになって動かなくなっちゃってさ」
アイツらもかァァ!!
女の水着で勃つとか童貞かよ!?いや俺も人のこと言えないけどさァ!!??
なんか気になってる子の水着見ると、結構股間に来るじゃん?普段着物で露出少ないから余計ね。
「神楽ちゃんや新八くんは?」
「あっちで遊んでらァ」
「ほんとだ!おーい!神楽ちゃーん、新八くーん!」
おい、やめろ!新八には刺激が強すぎる!!!
案の定、新八は鼻血を噴き出しプールを血の海にして気絶した。
「し、新八ィィイイ!」
「ジョーズネ!ジョーズに食われたネ!!!銀ちゃん座ってないで助けるアル!」
「いや、ちょっとまだ無理」
なかなか治まらねえ、なんか別の事考えて気を紛らわせるしか……
「あれ、なんかここぬるぬるし……ぅわっ」
「ちょ、危な……!」
一瞬の出来事だった。
名前が足を滑らせ宙に浮く。俺はそれを支えようとするが、謎のぬるぬるによって俺も足を滑らせ倒れた。
「……痛ェー、んぶぅ!」
尻に激痛が走ったと思えば、顔面に何かがのし掛り目の前が真っ白になる。その何かを退けようと鷲掴みにする。
「ひゃあ!ちょっと銀さんどこ触ってんの!?」
目の前の真っ白の物体がやっと顔から離れてくれたと思うと、それは尻だった。名前の尻が俺の顔面に乗っていたらしい。
おいおい、これどこのToLOVEるですかァ!
「おぬしら、そういう事は他でやりなんし。こんなとこでせんでも、ホテルに行けばいいじゃろ……」
「オイ!お前だろここにローション撒いたやつ!ありがとうございます!!」
「何を言っとるんじゃ、わっちは晴太と水練をだな……」
「ツッキーじゃん!!ホストクラブぶりだね!」
そうやって名前は立ち上がろうとするも、また足を滑らせ顔面に尻が降ってくる。親方!空から尻が!
「ひゃんっ!滑って起き上がれないんだけどぉ!」
「もう俺一生このままでいいよ」
「ちょっ……そこで喋らないで!」
プールの監視員って毎日こんな感じなのかよ。
俺、一生プールの監視員でいいわ。転職しよっかな。
「オイ、こんなとこで何ローションプレイしてるんでィ」
沖田くんに殺意のある視線を向けられる。これは確実に殺ってやろうと思っている目だ。
「お、沖田くん……違うんだよこれは」
「なにが違うんでィ、名前も早くそこから退け」
沖田くんは名前の脇の下にに手を入れて、ひょいと軽々と持ち上げる。助かったような残念なような。
「旦那は放っといて、あそこのスライダー行こうぜィ」
「あっ、楽しそうー!」
「おぬしら、あのスライダー滑るならこのローション被っていきなんし」
「月詠姉!オイラももっかい滑りたい!」
沖田ガードが入ってしまっては気軽に名前に近づけねえな。土方の野郎もどこかに居るんだろうし双眼鏡で遠くから眺めとくか。
双眼鏡を覗くと遠くで土方が一人でポツンと三角座りしているのが見えた。
……まだ三角座りしてたんかァァい!!!!
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