２７
やっとお妙ちゃんに謝ることができた。最初から気づいていたみたいでびっくり。後ろに銀さんたちが居たこともお妙ちゃんはすぐに気づいたらしい。
年下なのに本当にしっかりしていて、つい神楽ちゃんみたいに姉御って呼びたくなる。
それから土方さんが二人を連れ戻しに来て、お妙ちゃんは突然用事があるって帰ってしまって銀さんと二人きりになった。
「お前、なんで今日そんな格好してんの？」
「え、変かな？」
「すんげえ可愛い」
予想外の答えが返ってきて思わず顔が熱くなる。そうストレートに言われると恥ずかしいな。
「……屯所ではこんな格好出来ないから、休みの日くらいと思って」
「まあ、そんな足出して仕事してたら目のやり場に困るわな」
なかなか顔が熱いのは治まらず、なんか暑いね！と手で扇いで誤魔化すようにビールを飲んだ。
銀さんも私が飲んでるの見て、飲みたくなったとビールを注文する。昼間っから飲むビールは一味違うよねって話をした。
暫くファミレス飲みをしていたら、いつのまにか空は赤くなっていた。
「お前、酒強いのな」
「そうかな？そこそこ酔ってるよ。銀さんみたいにゲロ吐いたりは滅多にないだけ」
「俺がいつもゲロ吐いてるみたいに言わないてくれる？」
「いつも吐いてるよ！？」
「今日は吐かないし！誓うし！！よし、二軒目行くぞ！今日はちゃんと屯所まで送ってくから！」
「うん、いいよ。絶っっ対吐かないでよ？」
「おう！任せろ！」
大丈夫だろうか。まあ飲むペース早かったらお酒奪って私が代わりに飲んでやろう、そうしよう。
少し歩いて商店街の中にある居酒屋に入ると、仕事を終えて一人で飲んでいる土方さんと偶然会った。
「……今日はよく会うな」
「毎日会ってますけどね」
「チッ、またオメーか！焼酎のマヨネーズ割りでも飲んでんのかァ？」
「さすがにそれはねーよ！テメーこそ焼酎宇治金時割りでも飲んどけや！」
「餡子はなんにでも合うように出来てるからな！？もちろん焼酎にも合うからな！？」
二軒目はこの人たちの口喧嘩でもアテにして飲みますかね。なんだかんだで仲が良いんだから。
「土方さんとは外で飲むの初めてですね」
「そういえばそうだな」
「外でってことは中で飲んでるのかよ！ずりーよ！俺だって毎日名前と飲みてーよ！」
「銀さんどうしたの？酔ってるの？」
なんか今日はいつもより銀さんのデレ具合がすごい。恥ずかしくなるからやめてほしい。
「おい、名前ももっと飲みやがれ」
次から次へとお酒を注いでくるからついつい私も飲んでしまう。なんか、結構回ってきたかもしれない。
「ふへ、土方さんも飲みましょー！」
「いい、酔っ払ったオメーを屯所に連れて帰らないといけないからな」
「いやいいよ土方くん！俺が送るから飲みなよお！！」
「いーや、俺が連れて帰る」
「俺が送って帰る！！」
「俺が！！！」
「俺が！！！」
「じゃあ、より酒を飲んだほうが送るってことでどうよ！？…ﾋｯｸ」
「上等だコラ」
「私も！私もやりたーい！」
「おっしゃ三人で飲み比べだゴラァ！！！ﾋｯ」
＊＊＊
そこからの記憶がすっぽりと抜け落ちていて覚えていない。誰が勝ったかとかどうやって帰ったのかも覚えてなくて、アルコールの力は恐ろしいなと思った私であった。
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