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あー、頭が痛ぇ……
完全に二日酔いだ。もう二度と酒なんて飲まねえ。って毎回言ってる気がするけど。
朝5時に名前をスクーターの後ろに乗せて屯所まで向かう。まだ空は薄暗いが早朝の冷たい風が目を覚ましてくれる。
俺の背中には二つのクッションがぴったりとくっついていて朝から刺激が強い。
「風きもちーい!!」
「俺は背中が気持ちいいー」
「えー!?なんてー!?風で聞こえないよー!!!」
ああ、出来ることならこのままずっと背中の柔らかい感触を楽しんでいたい。
しかしそんな願望は叶わず、屯所に着いてしまった。
「もう着いちゃった」
そう言いしゅんとする。
それ!そういうの、男は勘違いするんです!も、もしかしてもう少し俺と居たかったの?ってなるんです。
「まあ、仕事頑張れよ」
別れ惜しくて名前の頭を撫でる。
猫みたいに柔らかくてサラサラな髪に真ん丸な頭。撫で心地がいいんだよな。
「……屯所の門前でイチャつくとはいい度胸してやすね旦那ァ」
「総悟、おはよう!早起きだね」
「おはよう総一朗くん!」
「おはようじゃねえでさァ、何うちの女中と朝帰りしてるんでィ旦那」
「いやあ、朝まで腰が止まんなくてさあ」
「ちょっと何言ってんの銀さん、止まらなかったのはゲロでしょ!?」
「とりあえずテメーは早く朝食の準備しろィ」
沖田くんは名前の腰に手をやり、中へ入れと押す。
何さりげなく触っちゃってんの。つーか名前も嫌がれよ!
こっちの気も知らず銀さんまたねー!って手を振り、屯所の中に入ってった。
「……旦那ァ、相当あいつに惚れ込んでやすね」
「は、はぁ!?別に惚れ込んでないし!?」
「そうですかィ、旦那がその気ねーんなら助かりまさァ」
ニヤリと人の悪い笑みを口元に浮かべて屯所の中へ消えていった。
どいつもこいつも名前のスライムみてえな笑顔と、思わせぶりな言動にやられてやがるな。騙されてるぞ、あいつは女の皮被ったおっさんだぞ。
俺はただ妹のように可愛がってるだけだからね?勘違いしないでよね!?
「はあ…………」
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