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「いただきますヨー」
「いただきます」
「「かんぱーい!」」
4人で鍋つついてビール飲んで最高に良い気分になっていた。
神楽が一瞬で平らげるから、新八と名前は具材追加するのに忙しそうだった。
「おい神楽ァ、よく噛んでゆっくり食べなさい」
「なにパピーみたいな事言ってるネ!欲しいものは早く自分のものにするアルヨ。失ってから気づいても遅いアル」
「神楽ちゃん大人なこと言うね!!」
「いつまでも子ども扱いしないで」
「はいはい、神楽ちゃん装ってあげるから器貸して」
名前は神楽の発言に感心しながらも白滝を啜った。
「そういえば新八くん、あれからお妙ちゃんどうしてる?」
「あー……名前さんとは仲良くなりたいって言ってましたよ。また会いたいって」
んん?またってなに?
しかもお妙といつ、どこで知り合った?銀さん知らないんだけど。え、どういうこと?
「名前、姉御と会ったアルか?」
よし、神楽ちゃんナイスー。
それ銀さんも気になってたんだよねえ。
「この前新八くん家にお邪魔して……」
「ちょっと名前さん、それ以上は内緒ですよ!」
「あ、そうだったね」
何やらコソコソと、二人で内緒のお話ですか?
「何アルか、怪しいアル」
怪しい、怪しすぎるよね?
なんなのォ!?なに二人だけの秘密とか作っちゃってんの?
酒を飲むペースが早くなる。
なんだか、むしゃくしゃする。前にファミレスで会った時もそうだったけど何か無性に腹が立つ時がある。この感情がなんなのかはまだ知らない。
「ちょっと銀さんペース早くない?大丈夫?」
知るかそんなん。お前らが銀さんそっちのけでコソコソしてるのが悪い!意外と嫉妬深いんだからね!繊細なんだからね!あ、嫉妬だったのこれェ
……気づいたらトイレで名前に背中を摩られながら吐いていた。
「あんなに一気に飲むから」
「はあ、無理。あー頭いてえ……」
「新八くんももう帰っちゃったし、神楽ちゃんもお腹いっぱいになって寝ちゃったよ」
「そうかいそうかい、名前は新八が帰って寂しいってか」
「え?まあ寂しいっちゃ寂しいけど」
「二人でコソコソ内緒事してさ、銀さんなんて蚊帳の外でさ、なんなのお前らデキてんの?デキちゃったの?」
「何言ってるの?」
「だーかーらー新八とデキてんのかって言ってんの」
酔った勢いだった。
これで新八くんとお付き合いすることになりました☆とか言うのなら、新八の初彼女だし祝ってあげる覚悟はできている。
祝☆童貞卒ってパーティしてあげてもいいくらいだ。
「デキてないよ?」
「へ?」
「だからデキてないって」
「そ、そうかよ」
「あのね、神楽ちゃんには内緒にしてて欲しいんだけど……」
新八の家に行った経緯を教えてもらった。
神楽ちゃんは絶対に口を滑らすから内緒ね、って口元で人差し指を立てた。
「けど、お妙ちゃんを騙してるみたいで嫌なんだ」
「あいつもとっくに気付いてるだろうよ。何年新八の姉でいると思ってんだ」
「そうかなあ」
なんだ俺の早とちりか、と悪夢から目覚めたようにほっとした。
「名前」
「なあに?」
「お前さ、誰のものにもなるんじゃねえぞ」
「銀さんのものにも?」
そう言ってケタケタ笑っている。そういうの冗談ぽく言うのやめてくれないかな。
頭の後ろに手を添えて引き寄せる。きょとんと目を丸くした名前に頭突きをした。
「いだッ!!!」
「ばーか」
天然タラシめ。
キャバ嬢やってた頃の癖が抜けてないのか?真選組なんてあんなむさ苦しい所で働いて大丈夫なのかよ。
「ねえ銀さん、今日お風呂とお布団借りていい?」
「泊まってく気かよ」
「だってスクーター乗れないし、歩くには遠いし」
「あー、もうわあーったよ、その代わり銀さんと同じ布団で寝ること!」
「……やっぱ歩いて帰るね」
「冗談だって!ジョークジョーク!ジャパニーズジョーク!」
今日はバスタオル姿で出てこないよな?
少しだけ期待しつつも、あいつが風呂入ってる間に布団を敷いて、俺はソファーで何度読んだか分からない今週のジャンプを読んでいたら、いつのまにか寝落ちしていた。
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