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「あっ!名前ネ!!!」
新八と神楽と仕事の帰りにスーパーに寄った。
神楽があれ、名前じゃないかと走って行く。新八は名前を見た瞬間、挙動不審になって顔を真っ赤にする。
おいおい、発情期ですかコノヤロー。
「神楽ちゃん、久しぶりー!」
「久しぶりアル!ちゃんと飯食ってるカ?」
「食べてるよ、神楽ちゃん達もお買い物?」
「そうネ!今日は鍋するアル!汗だく鍋パーティーネ」
「えっ!いいなあ……」
見てる、うるうるした目でこっち見てる……
私も鍋食べたいって目で訴えてくる……
「あー……お前も、来る?」
真っ直ぐな目に負けてボリボリと頭を掻く。
花が咲いたかのように、顔がぱっと明るくなった。
「いいの!?みんなでご飯久しぶりだー!」
「きゃっほーい!」
クッソ、あの目に負けてしまった。銀さんこいつにおねだりされたら何でもしちゃいそうだよ
まあ万事屋だからね、何でもするよ何でも。
「言っとくけどうちの鍋は質素だからな」
「それでもいいの!みんなで食べたら何でも美味しいでしょ」
普段むさくるしい連中に囲まれて飯食ってるくせに、たまには1人で静かに食べたいとか思わんのかね。
「新八くん、さっきから挙動不審だね。大丈夫?具合でも悪い?」
「ひっ!大丈夫です!普通ですよ普通!」
「普通じゃないアル、ロボみたいに動きが硬いネ!源外のジジイに改造されたアルか?」
「普通だよ!いつもの志村新八だよ!」
「なんかツッコミも弱いネ」
さっきまでは普通だったのに。
まあこいつは童貞が好きそうな顔してるもんなあ。しかも男を勘違いさせるプロだもんなあ。まあ銀さんは童貞じゃないけど?最近めっきりそういうことしてないけど童貞ではないし?
「さっさと具材買って帰るネ!お腹と背中がメンチ切ってるアル」
「私長ネギいれたーい!煮るとトロトロになって美味しいんだよねー」
女どもはキャッキャしながらカートに次々と具材を入れていく。酢昆布やらビールやら好き放題入れていく。
おい、うちの鍋は質素だって言っただろ。
会計時にレジに表示された金額を見て青ざめてたら、名前がさりげなく半分出してくれた。助かる。
「随分大荷物になっちゃいましたねぇ」
「ついカートに色々入れちゃった」
「〆は雑炊アルか?ラーメンアルか?うどんアルか?」
「雑炊がいいなー」
スーパーを出ると西日が眩しくて目が開かなくなる。
今日は一段と眩しく感じた。
ガキたちの数歩後ろを歩いていると、突然名前が振り返る。
嬉しそうに満面の笑みを浮かべていた。なあ、なんでそんな嬉しそうなの?
「銀さん、早く帰ろうよ」
着流しの裾をぐいっ、と引っ張ってくる。
そんなに急がなくてもいいのにと思うけど、楽しそうにしてっから何も言わないでおく。
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