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女中の朝は早い。

昨日はお昼からだったが、今日はみっちりフルタイムだ。

朝食の支度が終わったと思ったら、副長さんに総悟を起こしてきてくれって厄介事押し付けられて、今沖田総悟の部屋の前にいるのだ。


「サドさーん?起きてくださいー!」


返事はない。


「ドSさーん?起きてくださいー!!」


やはり返事はない。

部屋に入って布団引き剥がすしかないかな。お邪魔しますと一応声をかけてから戸を開けて入る。

寝顔でも見てやろうかなって思ったけどアイマスクをしていて寝顔拝めず。可愛げのない奴め。


「綺麗な髪色……」


ふと髪を撫でると、細い毛が指の間をサラサラと流れていった。

あれ、なんだか母性が……!
ムカつく事もあるけれど、何だかんだで嫌いになりきれない。それは何故か、顔が良いからだ。
顔だけではなく、きっと彼にも良いところがあるんだろう。私にはまだ分からないけどきっと過ごしていくうちに、分かるようになるよね?


「ちょっと、起きてよ」


体を揺さぶっても、布団を剥いでも、足の裏をこしょこしょしても、耳に息を吹きかけても反応は無かった。
心臓、動いてる?彼の胸に耳を当てるとちゃんと動いていて一安心。

どうしたら起きてくれるのか、腕を組んで考えていたら何だか私も眠くなってきて、しばらく座ったままうたた寝してしまっていた。









「ちょっとアンタら何やってんのぉぉ!?」

誰かの叫び声で、せっかくみんなで桜の木の下でお酒を飲む夢を見ていたのに現実に引き戻されてしまった。


「んん……」

「山崎ィ、朝から喚くんじゃねえ」


何をしても起きなかった沖田が起きた。
よく寝たと腕を伸ばし大きなあくびをしている。


「なかなか起きてこないなと思って見に来たら……名前さんはなんでここで寝てるの!」

「起こしに来たら眠くなっちゃって……へへ」


座ったまま寝ていたので首が痛い。


「なんで起こしに来たやつが寝てるんでィ」

「だって、君起きないんだもん」

「お前、俺が死んでるんじゃないかって、心臓の音聞いてたろ」

「う……起きてたんだ」

「アホだなと思いながら寝たフリしてた」

「んもー!やめてよ!」


んべっ、と舌を出される。
ああ何たる屈辱。


「もう沖田隊長、あまりいじわるしないであげてくださいよ。辞めるって言われたりしたら困りますし」

「そんなんで辞めるタマじゃねえだろィ。な?」

「あたぼーよ、絶対君には負けないから」

「ほら、肝が据わってやがる。ザキ、こいつぁ大丈夫だぜ。俺がビシバシ扱いといてやらあ」

「それが心配なんでしょうが!」


奴が山崎さんと言い合いしているうちに、私はこっそりと部屋を抜け出して仕事に戻った。

あんなガキんちょに玩具にされてたまるもんですか。


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