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春の柔らかい日が当たる縁側で、いつものようにサボってたらあの女を見かけた。
先程食堂で少しちょっかい出してやったが、なかなか折れそうのない女だと思った。

そういう気の強ぇ女は服従させておもちゃにしたくなる。
どう遊ぼうか考えてたら、あいつは洗濯物を取り込んでるところで、でっけえ籠に布団のシーツやらなんやらぶっ込んで一人で運んでやがった。

非力ぶる様な女ではないのか。
籠にこんもりと積んだ洗濯物で前が見えてなさそうで、少しちょっかいかけてやろうと思った。


「おい、クソ女」

「な……!邪魔するならしっしっ!」

「なんでィ、せっかく手伝ってやろうと思ったのに」

「え……そうなの?」

「鳩が豆鉄砲食らったような顔してらァ。女が一人でこんな重いもん運ぶの大変だろ」

「いや、手伝ってくれるなんて思わなくて」

「貸しなァ」


女から籠ごと奪い取ると、頭の上で籠をひっくり返して大量の洗濯物で生き埋めにしてやった。


「いけねっ、手が滑っちまったァ」


洗濯物の山から、もぞもぞと這い出てきては文句を垂れる。


「結局邪魔しに来ただけじゃない!ほんっと嫌な奴!」

「キーキーうるせぇな、猿か」

「何をぉおう!?」


昨日は大人ぶってシカトしてたくせに、今日は反応がいいし遊び甲斐があった。
顔を真っ赤にしてムキになって洗濯物を投げてくるが、そんなもん屁でもねえ。


「おい新人イビリもその辺にしとけ、総悟」

「副長さん!」


ヒーローが来たかのように、嬉しそうに土方の野郎に駆け寄る。
いつの間に懐いてやがるんでィ。


「土方さん、そいつぁ俺の飼い犬でさァ。人の犬に餌あげないでくれますかィ」

「君、さっき私のこと猿って言ったよね」

「君じゃねえやい、沖田総悟だ覚えとけ」

「沖田総一朗だかなんだか知らんけど、仕事の邪魔しないでくれる!?私今仕事覚えるのに必死なの!」

「総悟だっつってんだろうが。ご主人様にその口の聞き方はなんでィ」

「悪いけど、今そんなプレイに付き合ってる暇ないんで」

「……もういいからオメーら仕事にもどれ!!!!」


土方クソヤローに怒鳴られ、もう誰のせいでこんなことになったか!とごちゃごちゃ文句を垂れながらも洗濯物を片す。
ちゃっかり非番の土方さんが手伝ってるし、洗濯物にヤニの臭いがつくんでやめてほしい。

人のおもちゃにもヤニの臭いをつけないでほしい。


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