結構いい感じに酔っ払ったところで二軒目に行くことになった俺たち。

こいつに報酬を貰ったとはいえ、家賃や食費やツケの支払いでまたすっからかんになっちまうし、ババアのとこなら金使わなくていいかなと思い、お登勢のババアのところに名前を連れていった。


「あ、ここ万事屋の下のお店じゃーん」


すっかり千鳥足になった名前は、俺の腕にしがみついてくる。
あの、柔らかいものが当たってるんですけど。結構出るとこ出てるんだな。男だから女にくっつかれると鼻の下が伸びちまうのは仕方ねえよな。

なかなかに出来上がっているが、どっかの死神太夫みたいにアルコール入ったら暴れ回るとかそんな恐ろしい酔い方じゃなくて良かった。
周りには酒乱が多いからか新鮮だった。


「銀時、アンタが女連れて来るなんて珍しいじゃないの」

「うっせ、ババア」

「銀さんのお母様でしょうか?」

「私はこんな死んだ魚の様な目ぇした子ども、産んだ覚えはないよ」

「俺だってこんなヨボヨボのババアの股から出てきた覚えはないケドォ!?」

「何言ってんだい!2、30年前は私もまだ若かったわ!」


やべ!ババアが母親とか考えたら気分悪くなってきた!ゲロ吐きそう!!!


「ふふっ、仲良しだね!」


何笑ってやがる、お前のせいで吐きそうだよ俺は!!!!!

けどなんか、スライムに似てんだよな。
ふにゃっとした笑顔がスライムっぽい。癒し系?
特別美人とか可愛いってわけでもないけど、その普通さがまた良いなあと酔ってるからか、そう思えてきた。


「何見てんのぉ」

「はあ!?見てないけどォ!?」

「いや見てたよね、私の顔じっと見てたよね。銀さんも私のこと、 中の下だと思ってんでしょお」

「何の話だよ!」

「真選組の!沖田ってやつ!失礼なやつ!そいつに中の下って言われた!!」

「あー総一朗くんね、あの子はドSだから。縛ったり痛めつけたり色んなプレイしてるから」

「そうなのー?痛いのはちょっと……」


やべー、前のDV男を思い出してしまったのか少し表情が暗くなってしまった。そういや彼氏も可愛い系の顔でちょっと総一郎くんに似てたな。歳も同じ位か。
まあとりあえず飲ませるか、飲ませときゃなんとかなるなる。嫌なことは忘れちまえ。


「まあまあ今日は飲もうぜ。ここは銀さんのおごりだからァおいババア!熱燗ー!」

「奢りってアンタ……ツケいくらあると思ってるんだい!今度ツケの分働いて貰うよ!!」

「銀さん……そんなにお金ないの?マダオなの…?」

「おま!マダオなんてどこで覚えてきた!?」


そんなこんなで夜中の3時くらいまでは飲んでいた。
名前が眠そうにしてるからとりあえず帰ることにしたけれど……


「あれ、お前今日どこで寝るの」

「あ、忘れてた…」

「ホテル行っちゃう?」

「は?」

「ちょっとだけ!先っちょだけだから!」

「何言ってんの?」


冗談だよバカ!!!めちゃくちゃ怒ってるよこの人ォ!!!!!こえー!!!!と思えば俺の着物の裾引っ張ってきて、


「銀さんちで……寝る……」


とか言ってきやがった。
こいつやり手か?男誑かすの得意なのか?まあもう1回泊まってるし?神楽いるし?間違いなんて起こらないと思うけど?神楽いるし???てかなんでちょっと顔赤くして涙目なんだよ!!やめてー!!!


とりあえず二人で万事屋に帰り、先にあいつ風呂行かせてその間にトイレでうんこして消臭力をシューってしといた。


「銀さんー、風呂上りのビール飲みたいー」


バスタオルを巻いた無防備な状態で部屋を物色している。
目のやり場に困るなあ、と目を逸らしながらも男なのでチラチラと見てしまう。


「いや、何でバスタオル1枚で出てきてるわけ」


バスタオル姿のまま、冷蔵庫や戸棚を開けビールを探しているけれど、悪ィがうちの冷蔵庫は空っぽだ。


「風呂上りのビールって美味しいよね。飲みたいんだけど無いのかな」

「だからって男の前でその格好はいけませんよ。お嬢さん」

「大丈夫だよー!銀さんのことは信用してるから!」

「男をそんな簡単に信用しちゃいけません!!」


正直、ムラムラします。胸もケツも普通にいい感じ。ちょっとムチッとした足もたまらない。

いやいやいやいや、何を考えてるんだ俺ァ。
酔った勢いでーとかそれ最低なやつだからね。男だから穴さえあれば、別に恋愛感情がなくても抱けるけど?後々面倒になるような事したくないし?


「とりあえず俺も風呂はいってくるわ」


水でも浴びて頭冷やしてこよう。
出てきた頃にはちゃんと服着てんだろ。







風呂からあがると自分で布団を敷いたのか、和室で普通に寝ていた。
ブッサイクな寝顔と、女とは思えないいびき。

風呂上がりのいちご牛乳を一杯飲んで、今日はソファーで寝ることにした。


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