微妙な距離
____________________________






入院して数日が経ったある日。


病室の扉が開きお婆ちゃんと
少し身体の大きい男の子が
部屋に入ってきた。



「名前ちゃん、調子はどう?」
お婆ちゃんの言葉に頷くと

黙ったままの男の子と目があった。


「薫ちゃんだよ」

男の子の肩に手を乗せ
お婆ちゃんは紹介してくれた。


お婆ちゃんと薫ちゃんを
交互に見る私に


「ジュースでも買って来るね」

お婆ちゃんはにっこり笑い
病室を出て行った。



何を話せばいいのか
分からなくて沈黙が流れる。



「…椅子に座ったら?」

私が隣にある椅子を指差すと
薫ちゃんは椅子に座った。


「えっと、あの…薫ちゃんが
あの日助けてくれたんだよね」

「あのときはありがとうございました」


いつもそばには居てくれたけど
面と向かって薫ちゃんと
話しをしたことがなかった私は
緊張して上手く話せなかったけど
お礼の言葉だけはちゃんと言えた。


「…」


薫ちゃんは目を伏せたまま
何も言わなかった。





END
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -