きみの存在
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「…か、薫ちゃん?」

私が聞くと

「薫ちゃんが名前ちゃんのことを
助けてくれたんだよ」

薫…

頭の中で薫と言う人を思いだす。






「あっ…」

思い出した。

彼は気が付くといつも私の側に居て
身なりの汚い私をいじめる子達を
追い払ってくれた男の子だ。

いつも側に居たと言っても
話したりすることはなく

ただ彼は側に居ただけだった。




"彼の家には怖い人達がたくさんいる"
と近所の人が話しているのを耳にした。


その時の私には
その言葉の意味が分からなかった。





お婆ちゃんが言うに

あの日
薫ちゃんはいつもの様に私のことを
家の近くで待っていたけど
全然姿を表さない私を心配して
窓から家を覗いたら

殴られている私を見つけ慌ててお家の
怖い人達と一緒に私の家に乗り込み
私の首を絞めていた父親を必死に止めて
私を救ってくれたのだった。


お婆ちゃんは
「怖そうな人達だったけど
悪い人ばかりじゃないよ」

と教えてくれた。



目が覚めてから今まで
たくさんのことを聞かされ
私はどっと疲れた。


そんな姿をみたお婆ちゃんは

「名前ちゃんの身体に障るね。
今日はゆっくり寝なさい。」

私の頭を撫でて病室を出て行った。





眠りに落ちる間際
薫ちゃんの顔を思い出そうとしたけど
思い出す前に意識が途切れた。





END
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