理想の家族
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ダイニングに移動すると
テーブルいっぱいに並べられた
美味しそうな料理にお腹が鳴った。


薫ちゃんは先に食べ始めていて
薫ちゃんのお父さんとお母さんと
一緒に手を合わせ料理に手を付けた。



口に運ぶ料理はどれも美味しくて
自然と頬が緩む。

「美味いか?」

「はいっ凄く美味しいです!」

二カッと笑う薫ちゃんのお父さんは
私の返事に気を良くしたのか

「いっぱい食えよ!」

と私の頭を撫でた。


頭では優しい人だと分かっている
薫ちゃんのお父さんの掌が
昔私を殴った父親の
掌と重なって見えた。


ビクッと身体を強張らせた私を見た
薫ちゃんは

「親父」

横目でお父さんを見て口を開いた。

「あんた…」


「あぁ…悪い」

薫ちゃんとお母さんに注意され
意味を理解した薫ちゃんのお父さんは
手を元に戻した。


「名前大丈夫か?」

薫ちゃんの言葉に

「うん、大丈夫だよ」

笑って答えれば

「良かった、良かった」

と薫ちゃんのお父さんは笑い

薫ちゃんはモグモグとご飯を
頬張っていた。


こんな光景を
家族って言うのかな?


私は理想の家族像を
薫ちゃん家族に重ねて見ていた。





END
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