きみのとなり
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「何やってんだ」


頭上から声がしたと思ったら
馬乗りになっていた男の子が
壁に吹き飛んでいった。



声の方に目をやると薫ちゃんがいて
私は泣きそうになった。


壁にぶつかり気を失っているのか
全く動かない男の子の服を掴んで
拳を振り下ろす薫ちゃん。


何回か拳を振り下ろす行為をして
汚い物でも捨てるかのように
男の子を投げ捨てた。





「名前大丈夫か?」

心配そうに近付く薫ちゃんに
無理矢理作った笑顔で


「助けてくれてありがとう。
薫ちゃんにはいつも助けてもらって
ばっかりでごめんね」

声が震えないように言うと
薫ちゃんは口を固く閉じた。




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私を立たせて薫ちゃんは
保健室に連れていってくれた。

部屋に入ると先生は居なくて薫ちゃんが
慣れない手付きで
私の顏の消毒をしてくれた。


切れた口端に絆創膏を貼った
薫ちゃんは思い口を開け


「辛かったら泣け」


真っ直ぐ私の目を見て言ってくれた。




その優しい言葉に私は初めて
父親以外の男の前で泣いた。



思いっきり泣いてスッキリした私は


「薫ちゃんの前だと自然になれる。
薫ちゃんの近くは落ち着くな」


素直に今の言葉を口にした。




「これからも隣に居ていい?」


また目を伏せた薫ちゃんに聞いたら


「…ん。名前の好きにしたらいい」


と言ってくれた。





薫ちゃんの側に居ても良い
許可をもらった私は凄く嬉しかった。


この先いじめられても
薫ちゃんの隣にいれば
私は幸せになれると小さく思っていた…





END
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