募る不信感
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お婆ちゃんの家にもだんだん慣れ
お家の近所を散策していたら
私はある視線に気が付いた。


すれ違う私を見て眉を潜める
知らない顏の大人たちの視線を…


最初はその意味が分からなかった。


でも元居たお家から
お婆ちゃんのお家は近かったから

あの事件を知っている
人たちがいてもおかしくないと
自分に言い聞かせてた。



私を見て近寄ってきた
おばさんは

「色々大変だったね?
おばちゃんが出来ることなら
何でもするから言うんだよ?」


心配そうに眉を下げて話しかけてきた。


私は黙ったまま俯く。


覚えてる。この人私が父親に殴られて
泣いている私を見て見ぬ振りした人だ。


最初父親に殴られたとき
私はお家を飛び出して
目に付いたおばさんに走り寄った。

目が腫れて口から血を流している
私を見てびっくりしたおばさんは
足を止めてくれたけど

追いかけてきて父親に髪の毛を掴まれて
お家に引きづりこまれようとしている
私を見たおばさんはギョっとして
見てはいけないものを見るような
目をしてすぐに目を逸らした。


そんな風に私を見た大人は
おばさんだけじゃなかった。



大人たちは私が
助けて欲しかったときに
助けてくれなかった。


父親が居なくなった私に
同情を向ける目で私を見る大人たちに

"今になって優しくするな"

と腹が立った。





END
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