きみはスーパーヒーロー
____________________________
病室の扉が開いてお婆ちゃんが
ジュースを2本両手に握り帰ってきた。
「さぁ飲んでね」
私と薫ちゃんにジュースを渡すと
ニコニコ顏のお婆ちゃん。
ジュースを手に取って
椅子から立ち上がり
部屋を出て行こうとする薫ちゃんに
「薫ちゃん!また、来てくれる?」
少し強めに聞くと
「…あぁ」
そう呟いて部屋を出て行ってしまった。
(初めて薫ちゃんの声を聞いた)
心の中で呟くと
「薫ちゃんは心配なのよ」
私の髪を撫でてお婆ちゃんは言う。
「そうかな?何か怒ってたよ?」
お婆ちゃんの言葉が信じられなくて
拗ねたように言えば
「薫ちゃん、恥ずかしかったのかもね」
ふふふと笑うお婆ちゃんを見ながら
私は薫ちゃんのことを考えた。
____________________________
お婆ちゃんが帰ってしまって
1人になった病室で
私はずっと薫ちゃんのことを
思い出していた。
いじめられていた私を
助けてくれて
更に父親からも殴られ
最後には殺されそうになった所を
助け出してくれた。
一緒に居たときは全く話もしなかったし
目もほとんど合わしたことなかったけど
薫ちゃんの隣は凄く居心地が良かった。
助け出してくれた薫ちゃんは
私のスーパーヒーローだなと思うと
目が重くなって眠りについていた…
END