家族って?
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母親は小さかった私を置いて家を出た。
酒癖の悪かった父親の
暴力に耐えられなかったから。
残された私は毎日母親の代わりに
殴られ続けた。
殴られるのは当たり前。
ご飯も満足に与えて貰えなった。
着ている服もどんどん汚れて
私はいつも近所の子達から
嫌われいじめられていた。
父親は仕事から帰って来ては
毎日酒を浴びるように飲み
「あいつが出て行ったのはお前のせいだ!」
「お前が生まれたから
家族がバラバラになったんだ!」
毎日の様に怒鳴っていて
その言葉は呪文のように
私の身体に埋め込まれていった。
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家族の意味が分からなかった。
「お前は俺と血が繋がっているから
ここにおいてやってるんだ」
「有難く思えよ!」
家族だから
血が繋がっているから
私は殴られなきゃいけないの?
お母さんはなんで
私を置いて行ったの?
家族じゃないから?
血が繋がってないから?
お母さんなのに
家族なのに、血が繋がっているのに
なんで私を置いて逃げたの?
姿ない者に
毎日問いかけていた。
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お婆ちゃんや先生は
あの日あったことを話してくれた。
あの日…
昼過ぎに仕事が終わった父親は
自宅に帰り酒を飲み始めた。
酔いが回りまた何時ものように
私は父親に殴られていた。
歯止めが効かなくなった父親は
首を締め私を殺そうとした。
私が意識を飛ばした時
父親はある人達によって捕まえられ
児童虐待と殺人未遂の罪で
刑務所に入ったと聞かされた。
"刑務所"
その言葉に私は安心した。
それと同時に私は不安になった。
家族がいない。
不安になった時
お婆ちゃんは私の手を取り
「お婆ちゃんが居るよ」
ぎゅっと抱き締めてくれた。
「それに薫ちゃんも居るからね」
お婆ちゃんは言った。
END