家族って?
____________________________



母親は小さかった私を置いて家を出た。
酒癖の悪かった父親の
暴力に耐えられなかったから。



残された私は毎日母親の代わりに
殴られ続けた。



殴られるのは当たり前。

ご飯も満足に与えて貰えなった。

着ている服もどんどん汚れて
私はいつも近所の子達から
嫌われいじめられていた。


父親は仕事から帰って来ては
毎日酒を浴びるように飲み

「あいつが出て行ったのはお前のせいだ!」

「お前が生まれたから
家族がバラバラになったんだ!」


毎日の様に怒鳴っていて
その言葉は呪文のように
私の身体に埋め込まれていった。



____________________________




家族の意味が分からなかった。

「お前は俺と血が繋がっているから
ここにおいてやってるんだ」

「有難く思えよ!」



家族だから
血が繋がっているから

私は殴られなきゃいけないの?


お母さんはなんで
私を置いて行ったの?


家族じゃないから?

血が繋がってないから?


お母さんなのに
家族なのに、血が繋がっているのに


なんで私を置いて逃げたの?


姿ない者に
毎日問いかけていた。



____________________________




お婆ちゃんや先生は
あの日あったことを話してくれた。

あの日…
昼過ぎに仕事が終わった父親は
自宅に帰り酒を飲み始めた。

酔いが回りまた何時ものように
私は父親に殴られていた。

歯止めが効かなくなった父親は
首を締め私を殺そうとした。




私が意識を飛ばした時
父親はある人達によって捕まえられ
児童虐待と殺人未遂の罪で
刑務所に入ったと聞かされた。


"刑務所"

その言葉に私は安心した。

それと同時に私は不安になった。


家族がいない。





不安になった時
お婆ちゃんは私の手を取り

「お婆ちゃんが居るよ」

ぎゅっと抱き締めてくれた。


「それに薫ちゃんも居るからね」

お婆ちゃんは言った。





END
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -